2025年5月12日
米中貿易交渉はじめトランプリスクに注目の1週間! 「5月12日の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週は英中銀、FRBともに市場予想通りの結果となりました。
英中銀は市場予想通りの0.25%の利下げを決定しましたが、9名のMPCメンバーのうち2名が据え置きを支持、全会一致で利下げを予想していただけにポンド買いが進みました。
FRBは市場予想通り据え置きを決定しましたが、パウエルFRB議長は利下げを急がない方針を示し、タカ派な内容となったことで米ドルは底堅く推移しています。
また、注目のトランプリスクは米中貿易交渉が始まったとの報道からリスクオフが後退、米中双方から交渉進展と報じられたことで週明けのマーケットはリスクオンでスタートし、円安・フラン安が大きく進み窓開けでスタートしています。
今週もトランプリスクがマーケットの中心となるのではないかと思い、ヘッドラインに注意しておきたいと思います。
目次
◎今週の注目点
1)トランプリスク
対中国
米中の貿易戦争は現在、対中関税が合計145%、対米報復関税が125%となっています。
先週末からベッセント米財務長官やグリア米通商代表部と中国当局の貿易交渉が始まっています。
週末にベッセント米財務長官は「非常に重要な貿易協議にお
このまま、貿易交渉がうまくいくのか、それとも結論を先延ばしするのか、交渉決裂となるのか、結果に注目です。
対欧州
欧州は米国との関税交渉で、交渉が決裂した場合に報復関税として約15兆円規模の関税を検討していると明らかにしています。
関税交渉が決裂するのか結果に注目しています。
また、英国とは週末に英国と米国の間で貿易交渉合意と報じられています。
もともと米国は英国に対して貿易黒字なので関税も低く、貿易交渉のハードルが低かったとの見方から例外的に交渉成立したのではないかと思います。
対カナダ
トランプ大統領はカナダに対して米国の51番目の州になるべきとの持論を展開したり、カナダやメキシコの自動車は米国に必要ないと述べたりしています。
そのうえでUSMCA(米国・メキシコ・カナダ貿易協定)の再交渉が始まるのではないかと見られています。
交渉が再開されれば結果に期待が集まり、リスクオフが後退するのではないかと注目しています。
対FRB
先週のFOMCで市場予想通り据え置きを決定し、パウエルFRB議長はトランプ関税の影響により不確実性とインフレの懸念が拭えない限り利下げを見送ると利下げを急がない方針を示しました。
これに対してトランプ大統領は否定的、利下げ圧力をかけてくるのではないかと警戒されています。
今回はパウエルFRB議長の解任は否定したことで中銀の独立性は保たれましたが、トランプ大統領は二転三転することが多いのでいつパウエルFRB議長の解任を言い出さないか注目です。
2)経済指標
英雇用統計・失業率
英中銀は先週の会合で市場予想通り0.25%の利下げを決定しました。
ただ、全会一致で利下げと思われていましたが、2名の理事が据え置きを支持したことで今後の利下げ見通しが後退しました。
今回の雇用統計の結果が市場予想を上回る結果となれば、さらに利下げ見通しが後退するのではないかと注目しています。
米CPI(消費者物価指数)
FRBは据え置きを決定し、パウエルFRB議長は利下げを急がない方針を示しています。
FRBはインフレを懸念していることからCPI(消費者物価指数)の結果が強ければ、利下げ期待はさらに後退するのではないかと注目しています。
豪四半期賃金指数
中国と経済的つながりの強い豪州は米中貿易交渉が進んだことで、豪ドルは底堅くなってきています。
四半期に一度の指標で注目度も高い賃金指数の結果が強ければ、さらに豪ドル買いが進むのではないかと注目しています。
豪雇用統計・失業率・労働参加率
中国と経済的つながりの強い豪州は米中貿易交渉が進んだことで、豪ドルは底堅くなってきています。
賃金指数同様に雇用統計の結果が強ければ、豪ドル買いが進むのではないかと注目しています。
英GDP
英中銀は先週の会合で利下げを決定しましたが、予想よりもタカ派な結果であったためポンドは底堅く推移しています。
英国GDPの結果が強ければ利下げ期待はさらに後退し、ポンドが強くなるのではないかと注目しています。
米PPI(生産者物価指数)、小売売上高、ニューヨーク連銀製造業景況指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、失業保険申請件数
物価と経済状況、景況感、雇用の先行指標など重要指標が同時に発表されるため、結果が強弱入り混じる場合は上下に振れる可能性があるので注意しておきたいと思います。
PPI(生産者物価指数)はCPI(消費者物価指数)の先行指標として注目されており、PPI(生産者物価指数)の結果が強ければ今後CPI(消費者物価指数)も上昇する可能性に繋がります。
小売売上高や製造業景況指数はトランプ関税の影響などから、どこまで米国経済にダメージがあるのか確認したいと思います。
失業保険申請件数は毎週発表されるため雇用の先行指標として注目されており、継続申請が増えてくると失業率の悪化に繋がるのではないかと注目しています。
ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)・期待インフレ率
トランプ関税の影響をどこまで懸念しているのか、ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)の結果に注目です。
今回は速報値のため、市場予想と結果が乖離する可能性があり、予想よりも経済に不透明感が確認された場合はドル売りが進む可能性があります。
また、同時発表される期待インフレ率にも注目です。
関税の影響からインフレが懸念され、期待インフレ率が上昇している可能性があります。
景況感が悪く、インフレ率が上昇していた場合はスタグフレーションが懸念され、トリプル安(株安・債券安・ドル安)が進む可能性があるのではないかと注目しています。
◎今週のイベントスケジュール
5月12日(月曜日)
17:00 GBP ロンバルデリBOE副総裁発言
19:30 GBP グリーンBOE外部理事発言
21:50 GBP マンBOE外部理事発言
23:25 USD クーグラーFRB理事発言
5月13日(火曜日)
03:00 USD 米月次財政収支
09:30 AUD 豪Westpac消費者信頼感指数
15:00 GBP 英雇用統計・失業率
16:00 EUR エスクリバ・スペイン中銀総裁発言
17:00 EUR マクルーフ・アイルランド中銀総裁発言
17:45 GBP ピルBOE主席エコノミスト発言
18:00 EUR ドイツ・ユーロ圏ZEW景況感指数
21:30 USD 米CPI(消費者物価指数)
5月14日(水曜日)
00:00 GBP ベイリーBOE総裁発言
00:00 EUR クノット・オランダ中銀総裁発言
10:30 AUD 豪四半期賃金指数
23:00 EUR ホルツマン・オーストリア中銀総裁
23:30 USD 原油在庫量
5月15日(木曜日)
06:40 USD デイリー・サンフランシスコ連銀総裁発言
10:30 AUD 豪雇用統計・失業率・労働参加率
15:00 GBP 英GDP
16:05 EUR チポローネECB専務理事発言
19:15 EUR デギントスECB副総裁発言
21:30 USD 米PPI(生産者物価指数)、小売売上高、ニューヨーク連銀製造業景況指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、失業保険申請件数
21:40 USD パウエルFRB議長発言
23:00 GBP ディングラBOE外部理事発言
5月16日(金曜日)
21:30 USD 米住宅着工件数、輸入物価指数
23:00 USD ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)・期待インフレ率
5月17日(土曜日)
00:00 EUR レーンECB専務理事兼主席エコノミスト発言
00:00 GBP ロンバルデリBOE副総裁発言