2018年9月2日
今週は豪ドル週間!? ~豪ドルの下落を解説~
記事を書いた人:岡ちゃんマン
与党内の内紛で党首選を実施し、党首・首相交代をしたオーストラリア!
先日ブログでも書いた様に、豪ドルは下落の可能性があるのではないか!? と思っていたが、想定以上に早く下落してしまった。 なぜ、想定以上の下落となったのか!? 下落の要因を考えてみた。 先日の首相交代などをまとめた記事は以下を参照ください。
左上:AUD/JPY 右上:AUD/USD
左下:EUR/AUD 右下:AUD/CHF
◎豪ドル売りの要因
1)オーストラリア政権問題
オーストラリアは、先日1週間で2回も党首選を実施したり、閣僚が3人も辞任したり、首相が交代したりと政治不安が広がっています。 今後も政権問題は続く可能性があるので、豪ドルにとってはネガティブ要因と考えられます。 政治不安のことは以下の記事をご覧ください。
2)中国との関係
オーストラリアは、中国と密接な関係にあります。 中国の株価や経済指標などと豪ドルとの相関関係は高いです。 そんな中国ですが、最近トランプ大統領の標的となっています。 米中関税・貿易戦争です。 どちらも退くことを知らず、双方とも160億ドル相当の追加関税を発動。 関税の影響はこれから出てくると思います。 そうなると物価の上昇により消費後退、景気後退が予想されます。 中国の景気後退は豪ドルにとってネガティブ要因となります。 トランプ米大統領(一部報道)「来週にも2000億ドルの対中貿易関税発動を支持」と出ると、豪ドル売りも加速しました。 まだ検討段階、しかも一部報道だったのですぐに戻しましたが、来週に2000億ドルの追加関税が本格的になってくると豪ドル売りも加速すると思います。
3)景気動向と銀行問題
先週発表された大手銀行の住宅ローン利上げ。 今後、その他の銀行が利上げをしてこないか!? 利上げによる景気後退が出てこないか!? 注目です。 実際に、豪中央銀行(RBA)は次のように発言しています。 「高い債務が将来の政策決定を困難にする可能性」「金融安定にとっての主要リスクは信用度」 今後の住宅関連、ローン関連の指標は重要視されるかもしれません。
4)オセアニア通貨からの資金引き上げ
オセアニア通貨は、高金利を利用して資金を集めていました。 周囲の主要通貨が低金利政策をとる中、豪ドルは政策金利1.5%、NZドルは政策金利1.75%と高金利でした。 なので、金利目的で豪ドルやNZドルを保有する人がいました。 ただ、米国やカナダが利上げをしてくると、金利の優位性はなくなり、景気の良い米国やカナダ、今後利上げ期待の高まる欧州へと資金を移す流れができてしまいます。 豪ドルやNZドルを売って、米ドルや加ドル、ユーロ買いが進んでいるように感じます。
上記4点が、最近(この頃)豪ドルの下落につながったと思われます。 また、上記4点が今後の注目点とも言えます。
1)政権・政治問題では、来年予定されている総選挙が早まるリスクがあります。 現段階で総選挙となった場合、支持率から見ると政権交代の可能性が高いといわれています。 そんな選挙が実施、もしくは実施の可能性が出てくると政権・政治不安からごドル売りにつながると思います。
2)中国との関係ですが、中国によるオーストラリアに対して内政干渉があったとして、中国離れが一時進みました。 ただ、最近では中国との関係を改善しようとしていますが、それが支持率の低下ともいわれています。 また、中国は米中貿易・関税問題が悪化していく懸念があります。 今後、中国と米国の要人発言や、追加関税の発動など関係が悪化していくと、景気後退が懸念されて豪ドル売りの材料となりそうです。
3)上記でも書きましたが、その他銀行が続いて利上げしてこないか!?注目しています。 また、住宅ローンの比率や家計債務状況などに注目が集まりそうな気がします。 今後のRBA声明文や議事録、発言等でどこまで家計債務を気にしているのかも注目したいと思っています。
4)さすがに、資金流出を止めるのはむつかしいと思います。 利上げなどをすれば別ですが、住宅ローンの利上げを懸念するくらいなので、まだまだ利上げは難しいかと思います。 注意すべきは、景気後退から利下げになった場合(利下げ懸念が出始めた場合)は、豪ドル売りが一気に加速するので、注意したいと思います。
今週は、豪ドル週となりそうな予感です。 先週末の終値も微妙な位置で引けてます。 下にブレイクすると一気にストップを巻き込みながら下落しそうにも見えます。 豪ドルは買いスワップも良いことから、リピート系注文によく使われています。 リピート系注文は買い戦略が多いので、節目には買い戦略のストップが溜まっていることがあるので注意したいと思います。
来週の豪ドルに関する経済指標
9/3(月曜日)
07:30 製造業PMI
10:30 小売売上高
10;45 財新製造業PMI(中国)
9/4(火曜日)
10:30 経常収支
13:30 政策金利発表・RBA声明発表
9/5(水曜日)
10:30 四半期GDP(Q2)
10:45 財新サービス業PMI
9/6(木曜日)
10:30 貿易収支
9/7(金曜日)
10:30 住宅ローン貸出し
政策金利は据え置きでしょうが、声明文は気になります。 また、小売売上高や四半期GDPは大きく動く可能性の高い指標です。 そして、ナントいっても上記で話題となった住宅ローンの指標が発表されます。 中国指標でも、財新の指標は数値次第で豪ドルが動くので注目したいと思います。 豪ドルに関する指標だけ抜き出してもこれだけあるので、来週は豪ドル週間となりそうな予感・・・がします!