2024年6月3日
カナダ・欧州金融政策と米重要指標ラッシュに注目! 「6月3日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週は注目のPCEデフレーターが市場予想通りとなり、コアデフレーターの前月比が市場予想をやや下回ったことで米金利は低下しドル売りが進みました。
ただ概ね予想通りの結果だったことでFRBの判断に影響はないとの見方になっています。
FRBの利下げ期待は年1回、もしくは来年に持ち越しとの予想が出てきており、ドル買い円安が進みドル円は一時157円台後半まで進みました。
財務相は4月26日~5月29日の約1か月間の介入実績を発表し、2022年10月を上回り過去最大額となる9兆7885億円との介入額を発表しました。
今週はカナダやECBの金融政策発表が予定されています。
また月初めの週で雇用統計やISMなど重要指標が多数予定されており、結果次第では大きく動く可能性があるのではないかと注目しています。
米国ではFOMCを控えてブラックアウト期間に突入しており、米要人発言は予定されていません。
目次
◎今週の注目点
1)金融政策
カナダ中銀金融政策
注目度:やや高い
織り込み度:0.25%利下げを6~8割織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント:利下げの有無と今後の利下げについて
今回は利下げと据え置きで予想が割れています。
利下げ予想の方が優勢ですが、据え置き予想も多いことから、利下げ・据え置きどちらの結果となってもカナダドルは大きく動くのではないかと思います。
利下げされればカナダドルが売られ、据え置きであればカナダドルが買われる。
また、声明文や記者会見で今後の利下げについてのヒントがあるのかにも注目。
据え置きでも次回利下げが示唆された場合はカナダドルの上値は重くなるのではないかと思います。
利下げされたうえで追加利下げのヒントがあった場合は、カナダドルは大きく売られるのではないかと注目しています。
ECB理事会
注目度:高い
織り込み度:0.25%利下げ織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント:追加利下げのペース
今回の理事会で0.25%の利下げは織り込み済みです。
ポイントは今後の追加利下げのペースで、声明文や記者会見で追加利下げのヒントをが出てこないか注目しています。
今回のECB理事会は四半期に一度の経済見通しが発表されます。
経済見通しの結果が下方修正されていたり、声明文や記者会見で追加利下げに前向きな内容が出てきた場合はユーロ売りが進むのではないかと思います。
2)経済指標
ISM製造業景況指数
経済の先行指標として注目度の高い景況指数で、製造業の景況感が発表されます。
米国は強い経済から利下げ先送りが進み、年内に利下げが出来ない可能性も出始めました。
ISM製造業景況指数の結果が市場予想を上回ったり、前回値よりも強い結果になればさらに利下げ先送り観測が高まり、米金利高・ドル高が進むのではないかと注目しています。
JOLTS求人件数
月初めで雇用指標ラッシュの先行指標としてJOLTS求人件数が注目されています。
FRBは雇用市場に注目しており、強い雇用市場が続くようであれば利下げのハードルが高いまま、雇用市場の緩みが確認されないと利下げの判断に繋がらないのではないかと思います。
JOLTS求人件数の結果が市場予想や前回と比べて強いのか、緩んできているのか注目です。
豪四半期GDP
豪州は先週発表されたCPI(消費者物価指数)が下げ止まり、先日のRBA理事会で追加利上げが検討されたいたことから、今後の追加利上げに注目が集まっています。
今回発表のGDPが強い結果となると利上げ観測に繋がり、豪ドルが買われるのではないかと注目しています。
市場予想よりも強いのか、前回値よりも強いのか注目です。
ADP雇用統計
雇用統計の前哨戦、ADP雇用統計の結果に注目です。
ADP雇用統計の結果が市場予想を大きく下回る結果となれば雇用市場の緩みが確認され、利下げのハードルが下がるのではないかと思います。
ISM非製造業景況指数
米国のGDPの大半を占めるサービス業に関する景況感を示すISM非製造業景況指数の結果に注目。
強い経済からFRBの利下げは先送りに繋がっています。
米国のGDPで大半を占めるサービス業の景況感が強ければ利下げ先送り観測がさらに進むのではないかと思います。
米失業保険申請件数
失業保険申請件数は毎週発表されるため雇用指標の先行指標として注目されています。
FRBは雇用市場が引き締まっていることが利下げのハードルになっているとして雇用市場に注目しています。
失業保険の継続申請が増加しているようであれば失業者増え、雇用市場の緩みにつながり利下げのハードルが下がるのではないかと注目しています。
NFP雇用統計・失業率・平均時給
FRBが注目する雇用統計で失業率と平均時給に注目しています。
失業率は4%を節目として注目していて、失業率が4%台に突入すると雇用市場の緩みにつながるのではないかと注目しています。
また、平均時給の伸びが前回値よりも低下しているかにも注目です。
平均時給が低下すると賃金低下、賃金インフレが落ち着き利下げのハードルが下がるのではないかと注目しています。
雇用者数については10万人と20万人の節目に注目していて、20万人を超えるようであれば強い雇用市場に繋がり、10万人を下回ると雇用市場の緩みにつながるのではないかと注目しています。
カナダ雇用統計・失業率
カナダは金融政策発表後の雇用統計です。
金融政策発表の声明文や記者会見で利下げについてのヒントが出てこないか、そのうえでの雇用統計の結果で次回利下げに繋がるのか注目です。
3)要人発言
今週にカナダとECB、来週にFOMCや日銀と金融政策を控えて要人発言が少ない1週間です。
FOMCメンバーはブラックアウト期間に入っており発言はありません。
ECBやカナダ中銀は金融政策発表後に、今回の金融政策についてや次回金融政策についてどのような発言が出てくるのか注目です。
特に追加利下げや年内の利下げ回数に注目が集まっています。
4)円安・介入警戒
ドル円160円超えたことから円買い介入を実施し、2022年10月を上回る過去最大の9兆7885億円の介入となりました。
介入を受けて一時151円台まで下落しましたが、1か月かけて再度157円台に戻しています。
円安圧力は強く158円や160円を試す可能性が高くなってきています。
今後158円を超えて160円を試す展開となった時に、円買い介入がどの水準で実施されるのか注目です。
イエレン財務長官は「G7国の通貨は市場で決定されるべき」「為替介入はまれな行為であるべき、他国への伝達必要」との考えを改めて強調し、日本当局による円買い介入に対して繰り返しけん制するような発言をしています。
米国をはじめ欧州など各国がいつまで介入を許容してくれるのか、海外の反応にも注意しておきたいと思います。
ドル円がこのまま上昇を続けるのか、再度介入するのか、介入に関する発言などに注目です。
◎今週のイベントスケジュール
6月3日(月曜日)
10:45 CNY 財新製造業PMI
16:50 EUR フランス製造業PMI(改定値)
16:55 EUR ドイツ製造業PMI(改定値)
17:00 EUR ユーロ圏製造業PMI(改定値)
17:30 GBP 英製造業PMI(改定値)
22:45 USD 米製造業PMI(改定値)
23:00 USD ISM製造業景況指数
6月4日(火曜日)
15:30 CHF スイスCPI(消費者物価指数)
16:55 EUR ドイツ失業率
23:00 USD JOLTS求人件数
6月5日(水曜日)
10:30 AUD 豪四半期GDP
10:45 CNY 財新サービス業PMI
16:50 EUR フランス総合・サービス業PMI(改定値)
16:55 EUR ドイツ総合・サービス業PMI(改定値)
17:00 EUR ユーロ圏総合・サービス業PMI(改定値)
17:30 GBP 英総合・サービス業PMI(改定値)
21:15 USD ADP雇用統計
22:45 USD 米総合・サービス業PMI(改定値)
22:45 CAD カナダ中銀金融政策発表
23:00 USD ISM非製造業景況指数
23:30 USD 原油在庫量
23:30 CAD マックレムBOC総裁記者会見
6月6日(木曜日)
欧州議会選挙
10:30 JPY 中村日銀審議員発言
21:15 EUR ECB理事会・政策金利・声明文・スタッフ予想
21:30 USD 米失業保険申請件数、貿易収支
21:45 EUR ラガルドECB総裁記者会見
6月7日(金曜日)
16:00 EUR ナーゲル・ドイツ連銀総裁発言
17:00 EUR シュナーベルECB専務理事、ホルツマン・オーストリア中銀総裁発言
18:00 EUR ユーロ圏GDP(改定値)
21:30 USD NFP雇用統計・失業率・平均時給
21:30 CAD カナダ雇用統計・失業率
23:15 EUR ラガルドECB総裁発言
6月8日(土曜日)
01:00 USD クックFRB理事発言
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント