2021年9月5日
カナダ中銀、欧州中銀、豪中銀の金融政策発表に注目! 「9月6日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週は米雇用統計が予想を大きく下回りドル安が進んでマーケットクローズを迎えました。
また驚いたのは菅首相が辞意を表明し、自民党総裁選に不出馬を発表したことです。
辞意表明を受けて日経平均株価は大きく上昇し、上値が重かった日経平均は一時600円超の上昇を見せました。
今週はカナダや欧州、豪州で金融政策発表が予定されていて、マーケット参加者も戻ってきていることから、多くの通貨でボラティリティが高まってくるのではないかと期待しています。
目次
◎今週の注目点
1)金融政策発表
ECB理事会
注目度:かなり高い
織込み度:緩和縮小を少し織り込み始めている
バイアス:ややユーロ買い
ポイント:PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の減額
ECBは物価目標2%に設定しているが、多くの国でHICP(消費者物価指数)が2%を超えてきている。
一部の国では3%を超えてきていることからインフレが懸念され、引き締めを検討するべきだとタカ派発言が出てきている。
特にコロナ対応として使われるPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)は、コロナ禍経済から回復したのであれば減額すべきとの声が多く出ている。
今回の会合でPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の減額について議論されるのかに注目が集まり、減額が発表されるのか、それとも議論さえされなかったのかに注目が集まっている。
ここ数週間でPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の減額期待は高まり、ユーロが上昇していることから、全く議論されず、ラガルドECB総裁発言の記者会見でも減額について見えてこなければ、ユーロは一旦売り戻される可能性があります。
逆に、PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の減額に具体的な内容が出てくるとユーロ買いに繋がる可能性があるので要注目です。
RBA理事会
注目度:高い
織込み度:QEの減額を織込み済み
バイアス:豪ドル買い
ポイント:QEの減額とRBAのスタンス
7月の理事会で9月より量的緩和(週50億豪ドル→40億豪ドル)の減額が発表されています。
ただ、足元ではコロナ感染拡大が広がっており、経済のつながりが深い中国では景気減速が懸念されていることから、減額は先送りされるのではないかとの思惑が残っています。
減額を織り込んでいるだけに、減額先送りが発表されると豪ドル売りに繋がると思われます。
また、現状維持が発表された場合は、RBAのスタンスがハト派なのか、タカ派なのか、声明文の内容に注目です。
豪州でも住宅価格の高騰などが問題となっており、RBAとしては「コロナ対応は金融政策よりも財政政策で対応した方が良い」と考えているのではないかと噂されています。
豪州はZeroコロナからWithコロナに方針転換したことも併せて考えてると、金融政策はタカ派、財政支出になるのではないかと注目しています。
カナダ金融政策発表
注目度:やや高い
織込み度:据え置き織り込み済み
バイアス:加ドル安
ポイント:タカ派姿勢を継続するのか
カナダの金融政策は現状維持が発表すると思われます。
不安定な原油価格や弱いGDPなどカナダにとってネガティブな要因もありますが、物価の上昇は続いており、カナダ中銀にタカ派スタンスが維持されるのかに注目が集まっています。
7月の会合では緩和額(週30億カナダドル→週20億ドル)の減額が発表されましたが、マーケットはそれ以上を期待していたようでカナダドルは売られました。
そこからカナダドルはあまり上昇していないので期待は高まっていないと思われますが、現状維持だけでなくカナダ中銀がタカ派姿勢を後退させていた場合は、カナダドルの売りに繋がるのではないかと注目しています。
2)リスク要因
アフガン問題
アフガニスタンから米軍撤退が完了し、マーケットの反応はリスクオフが後退しています。
ただ、タリバンが過激な行動に出る可能性や、アフガニスタンがテロリストの温床になったりと、リスクがなくなったわけではないので注意しておきたいと思います。
また、ニュージーランドではイスラム国に感化された男が6人を刺す事件が起きています。
このような事件や、海外でテロ行為が出てくることも考えられるので、リスク要因として注意しておきたいと思います。
コロナ感染拡大
デルタ株の感染拡大が世界的に懸念されています。
豪州ではZeroコロナからWithコロナに変更しましたが、感染者は拡大しており、なかなか規制緩和できない状況にあります。
米国でも感染拡大していることから、欧州は米国からの渡航に規制を再開。
米国でも一部の州でサービス業などに規制を再開させる可能性が出てきています。
感染拡大から規制に繋がれば、コロナ禍からの経済回復に水を差し、景気後退の懸念からリスクオフが進む可能性があるので注意しておきたいと思います。
カナダ選挙
カナダでは9月20日に総選挙が予定されています。
波乱なくいけばトルドー首相率いる与党自由党が単独過半数を獲得できるのではないかと見られています。
ただ、コロナ感染拡大やコロナ禍での選挙実施に批判的な意見もあり、最大野党の保守党と支持率が拮抗してきています。
与党自由党が負けるような事があれば、大型財政出動の可能性が低くなり、カナダドルの上値が重くなるのではないかと思われます。
20日に選挙を控え、支持率が逆転すればカナダドルの上値が重くなる可能性があるので注意しておきたいと思います。
ドイツ選挙
ドイツでは9月26日に総選挙が予定されています。
長らくドイツ政治だけでなくEUを引っ張ってきたメルケル首相が引退し、後継が誰になるのか注目が集まる選挙です。
ただ、メルケル首相が率いてきた与党は支持率を落とし、混迷している状況です。
ここから残り2週間のドイツ選挙には注目です。
自民党総裁選
先週、急遽、菅首相の辞意が発表され、総裁選への不出馬が発表され日経平均は急騰しました。
膠着していた状況が変わるのではないかとに期待なのかわかりませんが、次の総裁も決まっていないのにこのまま上昇を続けるとは思えないので注意しておきたいと思っています。
また、ここから総裁選→解散総選挙と続いていくので、まずは自民党総裁にだれがなるのか注目しておきたいと思います。
また、総裁候補がどのような政策を考えているのかにも注目です。
3)経済指標
カナダ雇用統計
カナダ中銀の金融政策発表後なので、どこまで雇用に注目が集まるかわかりませんが、あまりに悪い数字が出てくるとカナダ選挙に影響するのではないかと考えています。
雇用者数と失業率に注目です。
英GDP
英国では経済回復が鈍化しているのではないかと懸念されています。
ただポンドは底堅く推移していることから、GDPの結果が良ければポンドの下支えとなるのではないかと注目されています。
4)要人発言
今週は要人発言が多数予定されているので注目です。
今週金融政策発表が予定されているRBA・BOC・ECBの要人発言は政策発表後に注目です。
米国の要人は来週FOMCを控えていることからブラックアウト期間に入っているため、政策に関する発言は期待できません。
今週最も注目しているのは英中銀に関する要人発言です。
今週は英中銀MPCメンバーによる要人発言が多数予定されており、材料不足だったポンドにボラティリティが戻ってくるのではないかと注目しています。
なかでも、新しく英中銀の外部理事としてMPCメンバーに加わったキャサリン・マン氏の発言に注目しており、彼女がタカ派なのかハト派なのか注目です。
5)米金利
先週の雇用統計で予想を大きく下回る結果が出てきて一時は大きく低下した米金利ですが、年内利上げの既定路線は変わらないとの思惑や、平均時給が予想を上回って上昇していたことなどから、米金利は一転上昇しました。
今週も米金利が上昇を続けるのか、それとも再度1.3%を割り込んで先週の水準に戻すのか注目しています。
米金利が上昇していくようであれば、来週のFOMCをタカ派的に捉えているのではないか、タカ派に織り込んでいるのではないかと考えられると思っています。
また、今週は2~30年債の入札も予定されているので、米金利は動きやすいのではないかと注目しています。
債務上限問題に決着がつかず、未だに債務上限の引き上げが行われていないことがどこまで影響するかも併せて注目です。
◎今週の注目通貨
1)ユーロ
スタンス:売り目線
政策発表次第だが、主要メンバーにハト派が多いので今週のECB理事会で据え置きが発表されると予想しています。
PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の議論がどこまで進むのか、具体的な内容が出てくるかでタカ派が強くなればユーロ買いが進む可能性があります。
タカ派が多数派になり、引き締め方向に進むのであれば、一旦ユーロ売りは控えたいと思います。
ただ、この後ドイツ選挙があり、連立政権をどこと組むのか政治混乱が予想されるため、ユーロを積極的に買っていきにくい状況です。
2)ポンド
スタンス:買い優勢
先週まで材料不足でポンドの方向性がない状態が続いていましたが、今週はGDPの発表に加えて、要人発言が多数予定されていることからポンドのボラティリティが高くなると考えています。
今の所、英中銀MPCメンバーはハト派が多く、ハト派発言は織り込まれていると考えています。
この状況でタカ派な内容が出てくればポンド買いに繋がるのではないかと考えています。
また、新たに加わったキャサリン・マン氏がハト派なのか、タカ派なのか、どちらになるか注目しています。
3)豪ドル
スタンス:買い目線
豪ドルは先物ポジションで売りが多く積みあがっていることや、ZeroコロナからWithコロナに変更したことで経済活動再開期待から豪ドルが買われると考えています。
また先週、中国指標が悪い状況であったにも関わらず、豪ドルが強いといった相関崩れが起こっています。
それだけ豪ドル買い圧力が強いのではないかと考えています。
RBA理事会で減額の先送りなど、ハト派姿勢に変更されない限り豪ドル買い戦略で行こうと考えています。
4)加ドル
スタンス:売り目線
カナダ中銀の金融政策で緩和の終了が発表されたり、タカ派が強調されたり利上げに関してヒントが出てくるなどした場合はカナダドル買いに戦略変更しようと考えています。
それまでは原油価格の高止まりなどからカナダドル売りで考えています。
5)米ドル
スタンス:買い目線
先週の雇用統計が弱かったことで米ドル売りが進みましたが、米金利は上昇しています。
来週FOMCを控えていることから大きな動きは無いと思いますが、先週売られた分の買い戻しはあるのではないかと考えています。
米金利を見ながらの動きを考えています。
6)円
スタンス:円売り
菅首相の辞意表明から株価上昇、円安が進んでいます。
今週はリスクオンが進めば、クロス円を中心に円安が大きく進むのではないかと注目しています。
リスク要因と総裁選候補者に注目しながら円売りしていきたいと思います。
◎今週のイベントスケジュール
9月6日(月曜日)
米国・カナダ休場(レイバーデー)
17:30 GBP 英建設業PMI
20:10 GBP マンBOE外部理事発言
9月7日(火曜日)
10:30 AUD 豪建築許可件数
13:30 AUD RBA理事会・金融政策・声明文発表
14:10 GBP マンBOE外部理事発言
16:30 GBP ソーンダースBOE外部理事発言
18:00 EUR ドイツZEW景況感指数
18:00 EUR ユーロ圏ZEW景況感指数・4~6月期GDP(確定値)
9月8日(水曜日)
02:00 USD 米2年債入札
08:50 JPY 日4~6月期GDP(改定値)
23:00 CAD カナダ政策金利発表・IveyPMI
9月9日(木曜日)
00:00 GBP ベイリーBOE総裁、ブロードベントBOE副総裁、ラムスデンBOE副総裁、テンレイロBOE外部理事発言
02:00 USD 米10年債入札
02:10 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
03:00 USD ベージュブック(地区連銀経済報告)
07:00 USD カプラン・ダラス連銀総裁発言
10:30 CNY 中国CPI(消費者物価指数)
17:35 AUD デベルRBA総裁補佐発言
20:00 MXN メキシコCPI(消費者物価指数)
20:45 EUR ECB理事会・金融政策・声明文・スタッフ予想発表
21:30 EUR ラガルドECB総裁記者会見
21:30 USD 米新規失業保険申請件数
9月10日(金曜日)
ユーロ圏財務相会合
00:00 USD 原油在庫量
00:05 USD デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、エバンズ・シカゴ連銀総裁発言
01:00 CAD マックレムBOC総裁発言
02:00 USD 米30年債入札
02:00 USD ボウマンFRB理事発言
03:00 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
15:00 GBP 英GDP
15:00 EUR ドイツHICP(消費者物価指数)
15:00 NOK ノルウェーCPI(消費者物価指数)
18:30 EUR ラガルドECB総裁発言
21:30 USD 米PPI(生産者物価指数)
21:30 CAD カナダ雇用統計・失業率
22:00 USD メスター・クリーブランド連銀総裁発言
9月11日(土曜日)
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント
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