2021年8月15日
利上げ期待のRBNZと雇用指標が発表されるRBAに注目! 「8月16日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週は夏休みシーズンに入り、日本は連休とお盆休みでマーケットは取引量が低下、閑散相場で金相場はクラッシュ。
金価格は一時4%を超える急落しました。
米国議会では長く懸念されていたインフラ投資法案が可決、3.5兆ドルの予算協議も承認され、バイデン政権が考える経済対策が進んだことで株価は上昇、金利が上昇しています。
8月15日には米国債の償還・利払いが予定され、週末にはレパトリ観測から円買い・ドル売りが大きく進みました。
欧米では今週も夏休みシーズンでマーケット参加者は少なく、閑散相場が予想されます。
オセアニアでは、RBAが注目している雇用指標が発表が予定され、利上げが期待されているRBNZ理事会が予定されています。
今週は夏休みシーズンで閑散相場の欧米よりも、金融政策発表や金融政策に影響する指標発表が予定されているオセアニアのほうが面白いのではないかと注目しています。
目次
◎今週の注目点
1)金融政策
RBNZ理事会
注目度:高い
織り込み度:0.25%利上げ織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント
利上げ幅と年内利上げについて注目が集まる
ニュージーランドはコロナ感染に成功しており、経済活動は正常化しています。
また、ニュージーランドでは住宅価格の高騰が問題になっており、利上げが必要な状況になっています。
経済が正常化し、住宅価格の高騰から利上げが必要とされている状況から、利上げ予想が多く出ています。
中には0.5%の利上げを予想しているところもあり、利上げ幅にも注目が集まっています。
声明文では、年内の利上げ幅についてどのように考えているのか、何回の利上げを考えているのか注目されています。
最近のNZドルはある程度利上げを織り込んでいるため上値が重くなっています。
追加利上げに触れられてもNZドルが伸びない場合は、NZドルの上値は重く、売り場になる可能性があるので値動きに注目です。
FOMC議事要旨
強い雇用指標や、経済の正常化が進んでいる米国ではFRBの引き締めが注目されています。
7月のFOMCでは引き締めのヒントは出てきませんでしたが、その後のFOMCメンバーからの発言からは引き締めに前向きな発言が出てきています。
7月のFOMC議事要旨から引き締めに関するヒントが出てこないか注目です。
RBA理事会議事要旨
RBAは追加緩和するのか注目されていて、議事要旨で追加緩和について議論されたか注目されています。
7月のRBA理事会で週50億ドルから週40億豪ドルに量的緩和の縮小が発表(9月以降分)されましたが、その後のコロナ感染拡大状況から追加緩和の可能性が注目されるようになりました。
8月の理事会では追加緩和が発表されるのではないかと注目されていましたが、現状維持が発表され、9月以降は週50億豪ドルから週40億豪ドルに減額されることになっています。
8月の理事会で9月以降の量的緩和の減額撤回が全く議論されなかったのか、それとも撤回が議論されたのか、議事要旨の内容に注目です。
量的緩和の減額撤回が議論され、今後撤回の可能性が出てくるようであれば豪ドル売りが進む可能性があるので注目です。
2)雇用指標
コロナ禍でベース効果から物価上昇はどの国でも起きていて、中央銀行は雇用指標を重要視しています。
そのことから雇用に関する指標に注目が集まっています。
豪州
今週の豪州は雇用統計と賃金指数に注目です。
5月のRBA議事要旨で「賃金の伸びが3%を超えないとインフレ目標を達成できない(利上げできない)」との見解を示していることから、賃金の伸びを示す賃金指数に注目が集まっています。
賃金指数は前回+1.5%で、今回の予想は+1.9%となっています。
予想を上振れることが出来るのか、どこまで3%に近づくことが出来るのか注目です。
また、失業率は前回4.9%と10年ぶりの水準まで回復しています。
コロナ前のRBAは失業率が5%を割り込むと、引き締め期待が高まると言われていました。
7月以降の豪州ではコロナ感染者数の再拡大により、ロックダウンが再開しています。
改善が続いていた失業率が悪化しているのか、どこまで悪化しているのか注目です。
英国
英国ではワクチン接種が進み、段階的に規制を解除し経済再開してきました。
6月中旬で規制はすべて解除していることから失業者も減ってきているのではないかと期待されて、どこまで失業率が低下しているか注目です。
米国
米国では失業給付の上乗せが終了し、ワクチン接種が進んだことで経済が正常化していることで失業者の低下が期待されています。
パウエルFRB議長の発言からは、物価よりも雇用のほうが重要視されている模様。
ただ、足元ではデルタ株の感染拡大が懸念されています。
感染拡大で失業者が増えていないか、失業保険の申請件数に注目が集まります。
先週よりも申請件数が減っているか、拡大していないか注目です。
3)その他注目指標
CPI(消費者物価指数)
今週は英国とカナダで物価指標、CPI(消費者物価指数)が発表されます。
コロナ禍で各国の中央銀行は量的緩和を行っており、インフレ懸念が高まっています。
カナダは引き締めを始めており、次の引き締めに動くのか注目されており、物価指標CPI(消費者物価指数)に注目が集まります。
英国も低金利・量的緩和政策がとられており、引き締めにいつ動くのか物価指標CPI(消費者物価指数)に注目が集まっています。
今週発表のCPI(消費者物価指数)が大きく上振れることがあれば、引き締め期待が高まる可能性があるので要注目です。
小売売上高
今週は米・英・カナダで小売売上高が発表されます。
小売売上高は経済活動がどこまで再開しているかを見るための指標として注目されています。
物価指標CPI(消費者物価指数)や、雇用統計など直接金融政策に影響を与える指標でなありませんが、経済の正常化を図る指標として、CPI(消費者物価指数)や雇用統計に次ぐ重要な指標として注目です。
4)リスク要因
最近のマーケットはリスクオフとリスクオンが日々入れ替わる展開が続いています。
リスク要因に注目して、リスクオフが続くのか、すぐにリスクオフが後退するのか、判断していきたいと思います。
現在注目されているリスク要因は以下の通りです。
・デルタ株によるコロナ感染拡大と感染拡大による規制
・米国の債務上限問題
・米中リスク
・アフガニスタンやイスラエル、イランなど中東リスク
・エルドアン大統領による中銀更迭リスクと更迭によるリラ安リスク
5)米国債の償還・利払い
8月15日に米国債の償還・利払いがあり、償還金や利払い金のレパトリ円転による円高ドル安が懸念されます。
米国債の償還利払いについては以下をご覧ください。
米国債償還と利払いについて
先週末は米国債の償還・利払いの円転による円高ドル安観測からか、円高ドル安が進みました。
15日以降は実需の動きも出てくる可能性があります。
円高ドル安の動きに注意しておきたいと思います。
◎今週の通貨別見通し
米ドル
基本はドル買い
今週の米ドルは売り材料と買い材料が入り混じる展開。
夏休みシーズンで取引量も少なく、方向感がつかみづらい展開だと思われます。
中長期では米ドル買いと見ていることから、米ドル安が進んだところでは買いたいと思います。
米ドル売り要因
・債務上限問題によるデフォルト懸念
・米国債の償還・利払いによるレパトリ
・コロナ感染拡大による景気後退
米ドル買い要因
・インフラ投資法案が可決、3.5兆ドルの予算決議承認
・FRBによる引き締め期待による金利上昇
ポンド
買い目線だったが…方向性模索
先週の英国4~6月期GDPや月次GDPの数字は悪くなかったにもかかわらず、ポンドは軟調に推移。
経済指標などのファンダメンタルズとポンドの値動きが逆行しています。
今週はCPI(消費者物価指数)や雇用統計が発表されるので、ポンドの動きに注目。
指標結果と値動きからポンドの方向性も見極めたいと思います。
・良い指標結果で素直にポンド上昇 → ポンド買い目線
・良い指標結果なのにポンドが上昇しない、もしくは下落 → 様子見もしくはポンド売り目線
・悪い指標結果でポンド下落 → 様子見もしくはポンド売り目線
・悪い指標結果なのにポンドが下落しない、もしくはポンド上昇 → ポンド買い目線
豪ドル
売り目線
豪州は買い要因が見当たらず、売り要因が多く、IMM通貨先物ポジションでも豪ドル売りが積みあがっている。
豪ドル売りトレンドは、まだ続くのではないかと見ている。
今週発表の雇用統計と賃金指数に注目。(内容については上記参照)
失業率が先月よりも改善し、賃金指数が予想を大幅に上回り3%に近づいた場合は、一旦調整の豪ドル買いが出てくるのではないかと見ている。
雇用や賃金指数の発表で強い結果が出たうえで、週末に予定されているケントRBA総裁補佐の発言で引き締めや利上げ期待が進むような内容が出てきた場合は、豪ドル売りのスタンスをいったん解消しようと思っています。
NZドル
買い目線だったが…理事会次第で方針転換
今週のRBNZ理事会でどのような結果になるか、出てきた結果に対してNZドルがどのように動くのかで、今後のNZドルの方向性を見極めたいと思います。
(RBNZ理事会の注目点は上記参照)
シナリオ1
0.25%の利上げ+声明文で年内利上げ幅に触れられていなかった場合は失望売りに繋がる可能性があります。
・NZドルが売られた場合 → NZドル売りが継続する可能性が出てくるので、様子見もしくは売りスタンスに変更
・NZドルの売りが限定的 → まだ利上げ期待が残っており、まだNZドル買いの可能性があり、買いスタンス継続
シナリオ2
0.5%の利上げの場合は一時的に買われる可能性がありますが、声明文で追加の利上げについて触れられなかった場合はNZドル買いは限定的。
・NZドルが買われた場合 → NZドルの上昇は限定的と予想、様子見姿勢にスタンス変更
・NZどるが買われなかった場合 → 買い材料出尽くしで売られやすくなる可能性があり、様子見もしくは売りスタンスに変更
シナリオ3
0.25%の利上げもしくは0.5%の利上げに加えて、声明文で追加利上げについて触れられていた場合は、NZドルの買いが続く可能性があります。
・NZドルが買われた場合 → 利上げ期待で買いは継続すると予想、買いスタンス継続
・NZドルが買われない場合 → 材料出尽くしで売られやすくなる可能性があり、様子見に変更
ユーロ
ユーロ売り目線
欧州ではコロナ感染拡大により、経済正常化が遅れています。
欧州各国ではワクチンパスポートによる制限やワクチン義務化の話が出ていて、経済再開に慎重な姿勢です。
このことから景気回復の遅れがユーロの上値を重くしています。
また、ECBは緩和姿勢を継続していることもユーロの上値を重くしていると思われます。
ユーロの売り要因
・感染拡大による経済正常化の遅れ
・中国の景気後退懸念
・トルコリラ安
・ドイツ総選挙が近づき混乱懸念
ユーロ買い要因
・超緩和政策による株価上昇
・売られすぎによる調整買い
カナダドル
カナダドル売り目線
カナダ中銀はすでにテーパリングを始めており、追加のテーパリングは材料としては弱い。
カナダ中銀の注目材料としては利上げに移っているので、利上げ期待が進まないとカナダドル買い材料が出てこないと思われます。
カナダドルの売り要因としてはコロナ感染拡大や原油価格の下落が挙げられます。
今週発表のCPI(消費者物価指数)や小売売上高の結果とカナダドルの値動きに注目しています。
指標結果が強い結果にもかかわらず、カナダドルが上昇しない、もしくは往って来いなど上昇が限定的だった場合は良い売り場、売りのチャンスだと考えています。
指標結果が弱かった場合は、売りが継続するか注目していきたいと思います。
◎今週のイベントスケジュール
8月16日(月曜日)
08:50 JPY 日本4~6月期GDP(速報値)
11:00 CNY 中国鉱工業生産・小売売上高
21:30 USD 米ニューヨーク連銀製造業景況指数
8月17日(火曜日)
10:30 AUD RBA理事会議事要旨(8月3日分)
15:00 GBP 英雇用統計・失業率・平均所得・失業保険申請件数
18:00 EUR ユーロ圏4~6月期GDP(改定値)
21:30 USD 米小売売上高
8月18日(水曜日)
02:30 USD パウエルFRB議長発言
04:45 USD カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁発言
10:30 AUD 豪賃金指数
11:00 NZD RBNZ理事会・政策金利・声明文発表
15:00 GBP 英CPI(消費者物価指数)
18:00 EUR ユーロ圏HICP(消費者物価指数)
21:30 USD 米建築許可件数
21:30 CAD カナダCPI(消費者物価指数)
23:30 USD 原油在庫量
8月19日(木曜日)
03:00 USD FOMC議事要旨(7月28日分)
10:30 AUD 豪雇用統計・失業率
21:30 USD 米新規失業保険申請件数・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
8月20日(金曜日)
08:05 AUD ケントRBA総裁補佐発言
08:30 JPY 日本CPI(消費者物価指数)
15:00 GBP 英小売売上高
21:30 CAD カナダ小売売上高
8月21日(土曜日)
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント
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