2021年9月12日
方向感を模索する展開でリスク要因に注目! 「9月13日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週は注目されたECB理事会でしたがハト派ともタカ派ともとれる内容で、値動きとしては思ったよりも動きませんでした。
注目されたPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)は購入ペースを減速させるものの、もともと加速させていたものを元に戻すだけなので、今回の減速が引き締めと受け止めるべきか、それとも元に戻しただけで調整と受け止めるべきか、意見が分かれているところです。
豪州やカナダでも政策変更ななく、豪ドルやカナダドルの上値が重くなっています。
米国では今週からのブラックアウト期間を前に要人発言が続きましたが、来週のFOMCでテーパリング発表などと前倒し期待に繋がる発言は出てこず、年内テーパリング開始がメインシナリオとなっています。
今週は金融政策発表など大きなイベントは少なく、米国はブラックアウト期間に突入していることから方向感を模索する展開になる可能性があります。
経済指標で物価指標や雇用指標がいくつか予定されているので、指標結果と値動きを見て、バイアスがかかっていないかを確認する1週間となりそうな気がしています。
方向感を模索する展開の場合はリスク要因の影響される可能性が高いので、リスクオフなのか、リスクオンなのか、株価や債券利回りなどを確認しながら判断していきたいと思います。
目次
◎今週の注目点
1)経済指標
物価指標
米・英・カナダでCPI(消費者物価指数)が発表、欧州のいくつかの国でHICP(消費者物価指数)改定値が発表されます。
物価高は一時的というのが多くの中銀の言い分ですが、本当に物価の上昇が一時的なのか、許容できる上昇なのか、物価指標の結果に注目です。
雇用指標
英国はコロナと共生ということで、規制を解除し通常の経済活動に戻しています。
感染拡大は続いていますが、どこまで雇用が改善しているのか注目です。
また、物価上昇や来年からの増税で支出が増える状況で、給与が上昇しているかにも注目です。
豪州の雇用統計では、先月の失業率が4.6%とかなり強い数字が出たものの、内容は求職を諦めた人が多いことから失業率が低下したとのこと。
今月の雇用統計でも同様の結果が出てくるのか、単純に失業率だけでなく精査した内容に注目です。
四半期GDP
ニュージーランドでは年内利上げが予想されており、好調な経済が出ているのか注目です。
今週の四半期GDPで予想を大きく下回る結果が出てきた場合、利上げ予想に影響するのか注目です。
2)選挙
自民党総裁選
菅首相が辞意を表明してから日経平均は上昇しています。
次期首相候補となる自民党総裁が誰になるのか、どのような経済対策を考えているのか注目です。
経済対策期待から日経平均が上昇を続けるようなら、海外からの投資が増えるようなら、円高が進むのかにも注目したいと思っています。
カナダ総選挙
カナダでは9月20日に総選挙が予定されています。
総選挙で政権交代などになれば一旦カナダドル売りに繋がる可能性があります。
選挙に関するヘッドラインに注目です。
ドイツ総選挙
ドイツでは9月26日に総選挙を控えています。
与党CDUが支持率を下げ、野党SPDが支持率を伸ばし逆転しています。
もう一つの野党、緑の党は支持率を下げて3番手となっています。
残り2週間でどの政党が支持率を上げるのか、ドイツの混乱に注目です。
3)リスク要因
米議会予算協議・債務上限
米議会では予算協議が進んでおり、3.5兆ドルの予算が減額されるのか注目です。
また、予算案とは別で債務上限を引き上げについても協議が進むのかにも注目です。
特に債務上限に関してはイエレン財務長官が10月には資金が底をつく懸念があると議会に進言しています。
今週は月次財政収支の発表もあることから、財政赤字、債務上限が意識される展開になる可能性があります。
債務上限が維持記されるようになればリスクオフが進む可能性があるので注目です。
コロナ感染拡大
デルタ株だけでなく、感染力の高い変異ウイルスが出てきており、世界的に感染拡大が懸念されています。
ワクチン接種が進んでいる国でも感染拡大しており、再度規制強化が懸念されています。
また、新興国でも感染拡大しており、工場などが閉鎖。
サプライチェーンに影響し、先進国で完成品ができない状況が出てきています。
コロナ感染拡大から規制強化によるサービス業への影響、サプライチェーンから製造業への影響が大きくなってくると、景気後退懸念が高まりリスクオフになる可能性があるので要注目です。
アフガニスタン問題
9月11日は911同時多発テロから20年で、米国では式典が行われました。
IS(イスラム国)やその他過激派のテロなどが懸念されましたが、無事に終わったと思われます。
ただ、これからも過激派のテロの可能性はあるので注意しておきたいと思っています。
また、アフガニスタンからの難民がこれから問題になってくると思われます。
多くの難民が欧州を目指すのではいかと思われ、早い国では難民を受け入れないよう対策している国もあります。
ドイツ選挙も難民の受け入れを巡って支持率が大きく変わるなど影響が出ています。
今後、難民問題が欧州で大きな問題になるかもしれないと注目しています。
◎今週の注目通貨
1)米ドル
スタンス:買い目線
来週のFOMCでポジティブサプライズを期待して、米ドルは底堅く推移すると考えています。
注目したいのはCPI(消費者物価指数)と月次財政収支です。
CPI(消費者物価指数)の結果が予想を大きく上回るようであれば、ポジティブサプライズの期待が高まりドル買いが進むと思っています。
また財政収支をはじめ、債務上限が意識されないか、リスクオフが進むのかにも注目したいと思います。
2)ユーロ
スタンス:ユーロ売り
先週のECB理事会のPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)減額は引締めなのか、それとも調整なのかがポイントだと思っています。
調整の可能性が高いと思い、引き締めを先延ばししたととられればユーロの上値を抑えるのではないかと思っています。
また、レーンECB専務理事兼主席エコノミストの発言にも注目しています。
理事会の内容と同じ内容の発言が出てくるのか、それとも違った見方が出てくるのか注目です。
ここからはドイツ選挙や難民問題が意識され、ユーロ売りが出てくるのではないかと考えています。
ただ、HICP(消費者物価指数)の改定値が発表されるので、上方修正されると物価上昇から12月の理事会で引き締めされると期待が進みユーロ買いが出てくる可能性があるので気を付けておきたいと思います。
3)ポンド
スタンス:ポンド売り
ぞうぜいのはなしがでて、ポンドの上値が重くなったのかなと感じています。
また、感染拡大も続いており、いつまでも規制なしでいられるのか注目しています。
EUからの離脱やコロナの影響から物価上昇、それに加えて増税となると支出が増えます。
これに所得が追い付かないようであれば今後の景気に影響するのではないかと考えています。
ただ、今週発表の英雇用統計やCPI(消費者物価指数)の結果を受けて、利上げ期待が進むようであればポンド買いに変わる可能性は考えています。
4)加ドル
スタンス:加ドル売り
先週の金融政策発表で現状維持されたことがカナダドルの上値を抑えていると考えています。
原油価格も65ドルくらいから上値が重くなっており、カナダドルの上昇余地が少ないのではないかと考えています。
CPI(消費者物価指数)の結果とカナダドルの動きにギャップが出てこないかに注意しておきたいと思います。
良い結果が出たにもかかわらず、カナダドルが上昇しないなどのギャップが出てきたときは、カナダドル売りのチャンスだと考えています。
逆に悪い結果が出たにもかかわらず、カナダドルの売りが進まない場合は気をつけたいと思います。
5)円
スタンス:円売り
リスクオンが進み円安が進んでいます。
この流れは当分続くのではないかと考えています。
株価の流れとリスク要因に注目しながら、円売りを進めていきたいと思います。
6)豪ドル
スタンス:豪ドル買い
ZeroコロナからWithコロナに政策変更から豪ドルは引き締め方向に向かうのではないかと期待しています。
ただ、先日の理事会で引き締めは維持したものの、期間延長を発表していることから、豪ドルの上値を重くしています。
今週発表の雇用統計が良い結果(内容的にも良い結果)が出てきた場合に豪ドルがどう動くかに注目したいと思います。
良い結果が出たにもかかわらず豪ドルが伸びないときは、一旦買い目線を修正しようかと考えています。
◎今週のイベントスケジュール
9月13日(月曜日)
9月14日(火曜日)
03:00 USD 米月次連邦財政収支
10:30 AUD 豪住宅価格指数・NAB企業信頼感指数
11:45 AUD ロウRBA総裁発言
15:00 GBP 英雇用者数・失業率・平均所得
16:00 EUR スペインHICP(消費者物価指数)(改定値)
16:30 SEK スウェーデンCPI(消費者物価指数)
21:30 USD 米CPI(消費者物価指数)
9月15日(水曜日)
09:30 AUD Westpac消費者信頼感指数
15:00 GBP 英CPI(消費者物価指数)
15:45 EUR フランスHICP(消費者物価指数)(改定値)
17:00 EUR イタリアHICP(消費者物価指数)(改定値)
21:30 USD NY連銀製造業景気指数
21:30 CAD カナダCPI(消費者物価指数)
23:30 USD 原油在庫量
9月16日(木曜日)
00:00 EUR レーンECB専務理事兼主席エコノミスト発言
07:45 NZD NZ四半期GDP
10:30 AUD 豪雇用者数・失業率
17:00 EUR レーン・フィンランド中銀総裁発言
21:30 USD 米小売売上高・フィラデルフィア連銀製造業景況指数・新規失業保険申請件数
9月17日(金曜日)
15:00 GBP 英小売売上高
18:00 EUR ユーロ圏HICP(消費者物価指数)(改定値)
23:00 USD ミシガン大学消費者信頼感指数
9月18日(土曜日)
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント
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