2024年7月29日
日米英の金融政策発表、月末月初の重要指標ラッシュに注目! 「7月29日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週はデジタル大臣や官房長官から金融正常化に関する発言が出てきたことや、トランプ前大統領の円安牽制発言が出てきたことで円高ドル安が進みました。
週末に発表されたPCEデフレーターが市場予想通りだったことからインフレ鈍化が確認される結果となり、FRBの年内利下げ予想が3回を織り込む展開となっています。
今週は日銀をはじめFOMCや英中銀など主要中銀の金融政策発表ラッシュが予定されています。
また、月末月初の週なので雇用統計など重要指標も立て続けに発表されるので大きく動く忙しい1週間になるのではないかと注目しています。
目次
◎今週の注目点
1)金融政策
日銀金融政策決定会合
注目度:かなり高い
織り込み度:国債買い入れ額の変更示唆を織り込み済み、一部利上げ予想
バイアス:円安バイアス
ポイント:利上げの実施と示唆
今回の会合では国債買い入れ額の減額を示唆、現在6兆円を目途に買い入れている国債を半減させるのではないかと予想されています。
また、デジタル大臣や官房長官などから金融正常化、利上げについて発言が出てきたことで一気に利上げ観測が進みました。
利上げ観測が進むことで一時152円割れまでドル円は下落しています。
今回の会合で利上げ先送りし、9月会合に向けて利上げの示唆がなかった場合は円の売り戻しが進むのではないかと注目しています。
FOMC
注目度:かなり高い
織り込み度:据え置きを織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント:9月利下げの示唆があるのか
直近の経済指標の下振れから、年1回利下げ予想から年3回利下げ予想まで利下げ観測が進んでいます。
仮に年3回の利下げとなると9月・11月・12月の利下げとなります。
そのため、今回の会合で9月利下げ開始を示唆するのではないかと予想されています。
利下げを示唆したことで米金利がどこまで低下するのか、ドル売りがどこまで進むのか注目です。
英中銀
注目度:かなり高い
織り込み度:据え置きが優勢、一部利下げ予想
バイアス:特になし
ポイント:利下げの有無とMPC投票配分
一時8月利下げが濃厚となりましたが、予想を上振れる結果となったCPI(消費者物価指数)などから利下げ観測は後退しました。
それでも一部では利下げ予想が残っています。
据え置きとなってもMPC投票配分は僅差となるのではないかと予想されています。
前回が7対2で据え置きでしたが、利下げ票が増えて6対3もしくは5対4となるのではないかと思います。
サプライズの利下げとなるのか、それとも僅差で据え置きとなるのか、投票配分と併せて注目しておきたいと思います。
2)経済指標
ドイツHICP(消費者物価指数)(速報値)
ECBの追加利下げに繋がるのか、欧州最大の経済圏であるドイツの物価に注目が集まっています。
ドイツの物価が市場予想を下回る結果となれば、物価低下から追加利下げ観測が進むのではないかと思います。
ドイツの物価指標であるHICP(消費者物価指数)の速報値に注目です。
JOLTS求人件数
FRBは雇用市場に注目しています。
月初めの雇用指標ラッシュの先鋒としてJOLTS求人件数に注目が集まっています。
市場予想を下回る結果となれば雇用市場の緩みにつながり、利下げ観測に繋がるのではないかと思います。
豪CPI(消費者物価指数)
主要中銀の中で最もタカ派、追加利上げの可能性があるのではないかと思われている豪州で、利上げ判断の大きな要因となるCPI(消費者物価指数)に注目が集まっています。
CPI(消費者物価指数)が市場予想や前回値を上回る結果が出てくるようであれば追加利上げが話題となり、豪ドル買いが進むのではないかと思います。
逆に市場予想を大きく下回るようであれば追加利上げ期待は後退し、豪ドルは売られるのではないかと思います。
フランス・ユーロ圏HICP(消費者物価指数)(速報値)
ECBの追加利下げ判断のため物価指標に注目しています。
ドイツに次ぐ経済規模のフランスや欧州全体のユーロ圏のHICP(消費者物価指数)の速報値に注目です。
市場予想や前回値を下回る結果となれば追加利下げ期待が高まるのではないかと注目しています。
外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
7月も円買い介入が疑わしい値動きがありました。
7月にどのくらいの介入があったのか、介入実績に注目です。
介入額が少なければ政府日銀による介入ではなく、市場による円買いであったと判断されます。
逆に介入額が多ければ政府日銀による強い円安けん制の意思を確認する結果となり、160円より上は上値が重くなるのではないかと思います。
また、介入額が多くても、今のところ米国などから批判が来ていないということは、介入を容認されていることとなり次回介入のハードルが下がるのではないかと注目しています。
ADP雇用統計
週末の雇用統計の前哨戦として注目されているADP雇用統計の結果に注目。
市場予想よりも弱い結果となれば9月利下げ、年3回の利下げ織り込みが進むのではないかと思います。
カナダGDP
カナダ中銀は2会合連続利下げを決定し、残り年内2回の利下げが予想されています。
年内の利下げ回数が2回よりも増えるのか、それとも減るのか、GDPの結果も影響するので注目しておきたいと思います。
GDPの結果が良ければ追加利下げの回数が後退、結果が弱ければ追加利下げの回数が進むのではないかと注目しています。
ISM製造業景況指数
景気の先行指標として注目されるISM製造業景況指数に注目。
今後の景況感が悪化しているようであれば利下げ期待に繋がり、市場予想よりも強い結果となれば利下げ期待が後退するのではないかと注目しています。
スイスCPI(消費者物価指数)
スイス中銀が利下げをするのか、物価指標に注目。
CPI(消費者物価指数)が弱ければ追加利下げのハードルも下がるのではないかと思います。
NFP雇用統計・失業率・平均時給
今週最大の注目指標であるNFP雇用統計の結果に注目しています。
まずは失業率に注目しています。
4%が完全雇用の分岐点だと思っていて、4%を上回るような結果が出てくると景気悪化が懸念され、追加利下げ期待に繋がると注目しています。
次に雇用者数ですが、10万人と20万人の壁と先月分の修正内容に注目しています。
雇用者数が10万人を下回るようであればかなり景気悪化が懸念される状況ということで大きくドル売りが進むのではないかと思います。
逆に20万人を超えるようであれば強い景気と受け止められドルは底堅い動きとなるのではないかと思います。
また、先月分の結果が上方修正されるのか、下方修正されるのかにも注意しておきたいと思います。
3)リスク要因
米国の大統領選挙はトランプ前大統領の当選濃厚ですが、ハリス副大統領の支持率が高いなどの報道も出てきています。
今後の政策などについて発言やヘッドラインが出てくると株価や米ドルの動きに大きく影響します。
大統領選挙に関するヘッドラインや、トランプ前大統領の発言・ツイートなどに注意しておきたいと思います。
また、今週は月末・月初の週です。
月末月初の実需のフローには注意しておきたいと思います。
◎今週のイベントスケジュール
7月29日(月曜日)
7月30日(火曜日)
10:30 AUD 豪建築許可件数
14:30 EUR フランスGDP(速報値)
18:00 EUR ユーロ圏GDP(速報値)
21:00 EUR ドイツHICP(消費者物価指数)(速報値)
23:00 EUR JOLTS求人件数、米消費者信頼感指数
7月31日(水曜日)
10:30 CNY 中国製造業・非製造業PMI
10:30 AUD 豪CPI(消費者物価指数)、小売売上高
12:00前後 JPY 日銀金融政策決定会合
15:30 JPY 植田日銀総裁記者会見
15:45 EUR フランスHICP(消費者物価指数)(速報値)
18:00 EUR ユーロ圏HICP(消費者物価指数)(速報値)
19:00 JPY 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
21:15 USD ADP雇用統計
21:30 CAD カナダGDP
21:30 USD 米雇用コスト指数
23:00 USD 米住宅販売保留指数
23:30 USD 原油在庫量
8月1日(木曜日)
03:00 USD FOMC・政策金利・声明文
03:30 USD パウエルFRB議長記者会見
10:30 AUD 豪貿易収支
10:45 CNY 財新製造業PMI
20:00 GBP 英中銀政策金利・声明文・MPC投票配分・インフレーションレポート
21:30 USD 米失業保険申請件数、労働コスト
23:00 USD ISM製造業景況指数
8月2日(金曜日)
15:30 CHF スイスCPI(消費者物価指数)
20:15 GBP ピルBOE主席エコノミスト発言
21:30 USD NFP雇用統計・失業率・平均時給
8月3日(土曜日)
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント