2024年6月17日
欧州政治リスクと円安介入リスクに注目! 「6月17日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週はFOMCで金利見通しが上方修正され、年1回利下げ予想となりました。
日銀は国債買い入れ額の減額が予想されていましたが、結果は国債買い入れ額の減額の方針を決定しただけで具体的な減額は次回に持ち越しとなりました。
日米金融政策の方針の差からドル買い円売りが進み、ドル円は一時158円台に突入、現在は157円台で推移しています。
今週は豪州やスイス、英国の金融政策発表に加えて製造業・サービス業・総合PMI(速報値)などに注目。
また、フランスはじめ欧州の政治リスクや円安・介入のリスクに注意しておきたいと思います。
目次
◎今週の注目点
1)金融政策
RBA理事会
注目度:高い
織り込み度:据え置きを織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント:利上げの可能性について
今回の理事会では据え置きが予想されています。
前回5月の理事会ではCPI(消費者物価指数)の高止まりを理由に利上げが検討されていました。
先日発表されたCPI(消費者物価指数)はさらに上昇し、昨年11月以来の高水準を記録しています。
このことから、今回の理事会では前回よりも利上げに前向きな内容が出てくるのではないか、タカ派が進むのではないかと注目しています。
スイス国立銀行政策金利
注目度:あまり高くない
織り込み度:据え置きを織り込み済み
バイアス:フラン高
ポイント:追加利下げの可能性とリスクオフのフラン高
スイスは3月の会合で利下げを実施しており、今回は据え置きが予想されています。
スイスのCPI(消費者物価指数)は1.4%と前回の1.0%から上昇していますが、SNB(スイス国立銀行)が物価目標としている範囲に収まっています。
声明文の中でインフレの見通しと、今後の追加利下げのヒントについて注目です。
追加利下げに前向きであればフラン売りが進む可能性がありますが、フランスの政治不安によるリスクオフでフランが買われやすくなっているため、フラン売り要因と買い要因で綱引きになる可能性には注意しておきたいと思います。
英中銀
注目度:高い
織り込み度:据え置きを織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント:MPC投票配分と利下げのヒント
英国は7月4日に選挙を控えており、今回の会合では据え置きになると予想されています。
今回の会合では、8月の会合に向けて利下げの可能性を探る展開を予想しています。
MPCの投票配分で、利下げ支持が前回の2名から増えるのか?
声明文の内容がハト派に振れるのか?
ベイリーBOE総裁の「今後数か月内に利下げが必要になる公算」との見解に変化があるのか?
このあたりに注目しておきたいと思います。
2)経済指標
米小売売上高
強い経済で米国の利下げは先送りされてきましたが、直近の経済データからは景気後退が見え始めています。
消費状況が確認できる小売売上高の結果が弱い結果となれば、米国の景気後退の可能性につながり利下げ前倒し期待につながるのではないかと注目しています。
英CPI(消費者物価指数)
英中銀は8月利下げの可能背に注目されており、CPI(消費者物価指数)の結果に注目が集まっています。
高止まりが警戒されているCPI(消費者物価指数)が市場予想を下回り、物価の低下が確認できれば8月利下げの期待は高まります。
逆に市場予想や前回値を上回るような結果が出てくるようであれば利下げ期待は一気に後退するのではないかと注目しています。
NZ四半期GDP
RBNZは先日の理事会で利下げ時期の見通しを先送りしています。
今回発表される四半期GDPが強い結果となれば、利下げ先送り観測につながりNZドル買いにつながるのではないかと注目しています。
日本CPI(消費者物価指数)
先日の日銀金融政策決定会合で国債買い入れ額の減額方針とデータ次第で利上げの可能性が示唆されました。
今回のCPI(消費者物価指数)が前回値や予想を上回る結果となれば利上げ期待につながるのではないかと思います。
英小売売上高
英国は8月利下げが注目されています。
英国の景気が後退しているのか、小売売上高の結果に注目です。
市場予想を下回るようであれば8月利下げの期待が高まるのではないかと思います。
製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
フランス・ドイツ・ユーロ圏・英国・米国で製造業・サービス業・総合PMI(速報値)が発表されます。
各国利下げに注目が集まっており、この先の景況感に注目が集まっています。
景況感が悪化していくようであれば利下げ期待が高まるのではないかと思います。
特に米国は最近のデータが弱くなってきているだけに注目されています。
カナダ小売売上高
カナダ中銀は前回の金融政策決定会合で利下げを決定しています。
声明文や記者会見でハト派な姿勢を示し、追加利下げに注目が集まっています。
小売売上高の結果が弱く、景気後退が確認されると追加利下げの可能性が高まるのではないかと注目しています。
3)リスク要因
フランス・欧州政治リスク
欧州議会選挙で極右・右派政党が躍進したことで、フランスのマクロン大統領はフランス下院議会を解散総選挙を決定しました。このことで欧州ではブレグジットの再来、フランスもEUから離脱を目指すのではないかとリスクオフになっています。
選挙は7月7日ですが、選挙に向けていろいろな報道が出ており、リスクオフが進んだり後退したりしています。
フランス議会選挙に関するヘッドラインに注目しておきたいと思います。
円安・介入警戒
先週のFOMC・日銀の金融政策が発表されFRBは利下げ先送り、日銀は国債買い入れ額の減額と利上げ先送りが発表され、ドル買い円売りが進んでいます。
ドル円は160円を目指す可能性が高くなり、いつ円買い介入が実施されるのか注目されています。
また、160円を超えたときにストップを巻き込み、一気にドル円が上昇しないかにも注目です。
4)要人発言
日米欧の金融政策が発表され、次回以降の金融政策に注目が集まっています。
米国FRBは3月ドット・チャートよりも6月ドット・チャートのほうが利下げ見通しが先送りされ、年内利下げ回数が1回、11月もしくは12月の利下げ開始ではないかと予想されています。
ただ、まだ期間はあるので経済指標の結果などから要人発言の内容に変化がないか、9月利下げ開始につながる発言が出てこないか注目です。
欧州は6月理事会で利下げを実施しており、今後の利下げペースに注目が集まっています。次の利下げ時期と年内の利下げ回数について、ヒントとなるような発言が出てこないか注目です。
また、フランスはじめ政治リスクに関する発言が出てこないかにも注目です。
日本は円買い介入に関する発言と、国債買い入れ額の減額方針と利上げ時期についての発言に注目です。
すでに国債買い入れ額の減額に関しては織り込まれている部分も大きいので、減額規模が小規模になるようであれば円売りが進むのではないかと注目しています。
◎今週のイベントスケジュール
6月17日(月曜日)
10:30 AUD 豪Westpac消費者信頼感指数
17:00 EUR レーンECB専務理事兼主席エコノミスト
18:00 EUR ラガルドECB総裁、クノット・オランダ中銀総裁発言
20:30 EUR デギントスECB副総裁発言
21:30 USD ニューヨーク連銀製造業景況指数
6月18日(火曜日)
01:00 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
02:00 USD ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁発言
09:10 AUD エリスRBA総裁補佐発言
13:30 AUD RBA理事会・政策金利・声明文
18:00 EUR ユーロ圏HICP(消費者物価指数)(改定値)
21:30 USD 米小売売上高
22:30 EUR デギントスECB副総裁発言
23:00 USD バーキン・リッチモンド連銀総裁発言
6月19日(水曜日)
米国市場休場
01:00 EUR ビルロワ・フランス中銀総裁発言
00:40 USD コリンズ・ボストン連銀総裁発言
02:00 USD 米20年債入札
02:00 USD クーグラーFRB理事、ローガン・ダラス連銀総裁発言
03:00 USD グールズビー・シカゴ連銀総裁発言
08:50 JPY 日本貿易収支、日銀金融政策決定会合議事要旨(4月26日分)
15:00 GBP 英CPI(消費者物価指数)
17:30 EUR センテノ・ポルトガル中銀総裁発言
6月20日(木曜日)
07:45 NZD NZ四半期GDP
16:30 CHF スイス国立銀行政策金利発表
17:30 CHF ジョーダンSNB総裁発言
20:00 GBP 英中銀金融政策発表
21:30 USD 米失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数
23:00 EUR ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)
6月21日(金曜日)
00:00 USD 原油在庫量
02:00 USD 米5年債入札
05:00 USD バーキン・リッチモンド連銀総裁発言
08:30 JPY 日本CPI(消費者物価指数)
15:00 GBP 英小売売上高
16:00 EUR ナーゲル・ドイツ連銀総裁発言
16:15 EUR フランス製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
16:30 EUR ドイツ製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
17:00 EUR ユーロ圏製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
17:30 GBP 英製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
21:30 CAD カナダ小売売上高
22:45 USD 米製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
23:00 USD 米中古住宅販売戸数
6月22日(土曜日)
00:00 USD FRB金融政策報告書
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント