2021年9月19日
金融政策発表ラッシュ、材料豊富な1週間! 「9月20日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週は中国大手の不動産会社である中国恒大集団のデフォルト懸念からリスクオフが進みました。
リスクオフで円買いが進み、資源国通貨が売られる展開となりました。
ロウRBA総裁のハト発言もあり、特に豪ドルの売りが進んだ1週間でした。
今週は米国、英国、スイス、日本、トルコと金融政策の発表が続き、マーケットが大きく動く1週間となるような気がしています。
その他にも経済指標や要人発言も多数予定されていることから、材料豊富な1週間です。
目次
◎今週の注目点
1)金融政策発表
FOMC
注目度:かなり高い
織り込み度:据え置きを織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント:テーパリングの取り扱いとドットチャート
今回のFOMCはテーパリングの開始に注目が集まっています。
考えられるパターンは「テーパリング開始」「テーパリング発表、11月開始」「テーパリング議論開始」の3パターンではないかと思っています。
今回のFOMCでテーパリング開始の可能性はかなり低く、仮にテーパリング開始が発表された場合は金利急騰、米ドル急騰に繋がるのではないかと予想しています。
少し期待しているのが、今回のFOMCでテーパリングを発表して、11月のFOMCからテーパリング開始というパターンです。
11月からテーパリング開始となれば金利上昇、米ドル買いになるのではないかと予想しています。
メインシナリオとしては、今回のFOMCでテーパリング議論は開始するが結論は11月のFOMC、12月のFOMCでテーパリング開始というパターンです。
この場合はドットチャートや経済見通し次第の動きになりそうです。
無いとは思いますが、テーパリング議論がされなかった場合はイッキに金利は低下、米ドル売りが進むのではないかと思います。
また、今回のFOMCでは経済見通しとドットチャートが発表されます。
特に注目されているのがドットチャートで、利上げ時期の見通しに注目が集まります。
利上げ時期の前倒しが確認されれば、必然的にテーパリングの終了時期も前倒しに繋がります。
ドットチャートの結果で金利が上昇して、ドル買いが進むのではないかと思われます。
無いとは思いますが、ドットチャートで利上げ時期が遅れていた場合は、ドル売りが進むと思うので注意しておきたい。
英中銀(BOE)
注目度:高い
織り込み度:据え置きを織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント:MPCメンバーの投票配分とキャサリン・マン氏の投票動向
今回の英中銀(BOE)では据え置きになると予想しています。
ただ、引き締めに対して肯定的な見解を持つメンバーと、まだ引締めには早いと否定的な見解を持つメンバーが4:4になっているという発言があったことから、今回引き締めに何票か入るのではないかと注目しています。
先日の発言通り4:4となった場合は、今回から参加する新メンバーキャサリン・マン氏の投票動向が注目です。
もし、引き締めに投票した場合は5:4になる可能性もあるので注目しています。
日銀金融政策決定会合
注目度:やや低い
織り込み度:現状維持を織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント:記者会見でサプライズは出てくるのか?
今週も日銀金融政策決定会合は現状維持で、値動きに繋がるような内容な出てこないと予想しています。
ただ、国内では自民党総裁選に加えて、年内には衆議院選挙が控えていることから、中央銀行がどのように受け止めているのか記者会見の内容に注目しています。
また、緩和政策を維持すると言っておきながら、国債買い入れ額は減ってきており、再度ステルステーパリングが意識される展開となるのかにも注目しています。
スイス国立銀行(SNB)
注目度:やや低い
織り込み度:現状維持を織り込み済み
バイアス:特になし
スイス国立銀行(SNB)はマイナス金利を維持すると思われます。
先日の発言でも、マイナス金利は必要として、フラン売り介入に関しても言及しており、ハト派姿勢を継続すると思われます。
特段サプライズも期待できず、無風通過になるのではないかと思われます。
トルコ中銀
注目度:やや高い
織り込み度:据え置き9:利下げ1
バイアス:トルコリラ安
ポイント:利下げと金利見通し
先日トルコ中銀は政策判断の指針をインフレ率からコアインフレ率に変更、「政策金利>インフレ率」から「政策金利>コアインフレ率」に変更しました。
総合インフレ率は19.25%(前月18.95%)、コアインフレ率は16.76%(前月17.22%)と総合インフレ率とコアインフレ率を比べるとコアインフレ率のほうが低く、低下傾向にあります。
この状況を見ると、エルドアン大統領からの利下げ圧力に対して、利下げする正当性を作るために指針を変更したのではないかとマーケットは注目しています。
もし、マーケットが注目している通り、指針の変更が利下げの正当性を作るためだとすると今回の政策発表で利下げするのではないかと注目が集まっています。
利下げされればリラ安が進み、安値を更新すればトルコリラがクラッシュしないかにも注目しています。
2)総選挙
ドイツ連邦議会選挙
ドイツでは16年ドイツをまとめてきたメルケル首相が引退し、後任を誰にするのかを決める選挙が混迷を極めています。
メルケル首相が所属する与党CDU党は支持率を落とし2番手、野党SPD党は徐々に支持率を伸ばし1番手、環境問題などを中心とする緑の党は一時1番手まで支持率を伸ばしましたが現在は3番手となっています。
ただ、どの政党も支持率20%前後と大差はなく、後残り1週間で支持率が変わり第1党がどの政党になってもおかしくない状況です。
政党が変わればドイツの政治方針も変わる可能性があり、支持率の変化が日々注目される展開が続くのではないかと思われます。
ドイツはEU最大の経済国です。
そのドイツの政治方針が変われば、EUにも大きな影響が出てきます。
なので、今回のドイツ選挙はEUにとっても大事な選挙で注目を集めています。
カナダ総選挙
カナダ総選挙は20日に予定されていて、トルドー首相率いる与党・自由党が政権を維持できるのかに注目が集まっています。
順当にいけばトルドー政権が継続ですが、仮に政権交代となればカナダは緊縮に向かう可能性があるので選挙結果に注目が集まっています。
政権交代とならなくても、単独政権とならなければ連立政権となれば政治不安定となり、カナダドルの売りが進む可能性があるので要注目です。
3)経済指標
製造業・サービス業・総合PMI
今週は欧州や英国、米国で製造業・サービス業・総合PMIの速報値が発表されます。
デルタ株の感染拡大、その他にも多数の変異株が拡大していて景気回復の足を引っ張っているのではないか、景気回復はピークアウトしているのではないかと注目されています。
景気後退の懸念が出ていないかを確認するためにも、先行指標としてのPMIに注目が集まっています。
今週は速報値なので、予想と結果が大きく乖離する可能性があるので、下方に大きく乖離した場合は感染拡大による景気後退が懸念され、通貨売りに繋がるのではないかと予想しています。
英国や米国は感染よりも経済優先で規制を解除しています。
経済正常化に進んでいるのに、PMIが悪化となると懸念は大きくなるのではないかと、特に注目しています。
4)リスク要因
米議会予算協議・法人税増税・債務上限問題
米国議会では3つのリスクから株価の上値を重くしています。
議会ではインフラ投資法案と3.5兆ドルの予算協議が行われていますが、減額を含め見直しが検討されています。
仮に減額となれば、3.5兆ドルを期待して上昇していた株価が下落する可能性があります。
また、法人税の増税の話も出ており、増税となった場合も株価の重しとなるのではないかと予想しています。
最後に債務上限の引き上げについてですが、10月には政府予算が底をつくとイエレン財務長官が発言していることから、そろそろ債務上限の引き上げについて議論が進まないと政府施設の閉鎖やデフォルトが懸念される展開が予想されます。
政府施設の閉鎖やデフォルトリスクが懸念され始めるとリスクオフが大きく進む可能性があるので注目です。
中国リスク
中国では中国恒大集団のデフォルトと中国包囲網への報復リスクがあります。
先週注目された中国恒大集団のデフォルトは、今週20日が利払い期限となっています。
先週、20日の利払いは出来ないと宣言されており、デフォルトは確実ではないかと見通されています。
今回のデフォルトが中国経済にどこまで影響があるのか、世界のマーケットにどこまで影響があるのか注目です。
また、20日は東京市場が休場なので、取引量低下からマーケットがクラッシュしないかにも注目です。
24日には日米豪印の「クアッド」首脳会議が米国で開催されます。
クアッドは中国包囲網として4カ国で戦略的対話を行う枠組みで、英国もこの枠組みに参加するのではないかと英メディアが報じています。
中国は当然反発しており、報復行動が懸念されます。
経済的な報復には注意しておきたいと思います。
また、軍事演習や尖閣や台湾、南シナ海などで軍事的行動をとるのではないかと注目しています。
◎今週の注目通貨
1)米ドル
スタンス:買い目線
今週はFOMCが最大の注目材料です。
その他に製造業・サービス業・総合PMI、20年債入札、要人発言がポイントです。
週前半はFOMCへの期待で金利上昇・米ドル買いが進むのではないかと予想しています。
マーケットではテーパリングの前倒しなどが期待されていますが、結果は12月テーパリング開始。
どんなに早くても11月開始ではないかと思われます。
FOMCでテーパリングに関して9月テーパリング開始が発表されなければ、期待感が高まっていた分だけ失望売りに繋がるのではないかと予想しています。
テーパリングが12月開始が濃厚となってくれば、次に注目するのがテーパリングの速度と利上げ時期に移ると考えています。
利上げ時期やテーパリングの速度は、ドットチャートから予測されることからドットチャートに注目。
前回のドットチャートと比べて今回のドットチャートが金利見通しが前倒しされていれば金利は上昇、ドル買いに繋がると考えています。
上記の失望売りが進んだとしても、ドットチャートが前倒しされていればイイ買い場になるのではないかと考えています。
2)ユーロ
スタンス:売り目線
ドイツ選挙の混乱を懸念してユーロは売られやすいと考えています。
フィナンシャル・タイムズ紙がECBの金利見通しを引き上げ、利上げ時期の予想が前倒しになると報じると、ECBは否定発言を出しました。
今週発表の製造業・サービス業・総合PMIが良い数字だと、フィナンシャル・タイムズ紙の報道が意識されるのではないかと思われ、このまま利上げ見通しの前倒しが期待されてくるとユーロが買われる展開も考えています。
3)ポンド
スタンス:買い目線
今週の政策発表では現状維持が発表されると予想しています。
注目は声明文と投票配分です。
英中銀の利上げが見えてくれば、ポンド買いに繋がるのではないかと考えています。
また、製造業・サービス業・総合PMIの数字にも注目したいと思います。
4)カナダドル
スタンス:売り目線
選挙結果が順当にいけば、一旦カナダドル買いに繋がる可能性がありますが、特に新しい材料が出てくるわけではないので、カナダドルの上昇は限定的だと考えています。
逆に選挙でトルドー首相(与党)が負けるようであれば、カナダドル売りに繋がるのではないかと思っています。
また、原油価格の上値が重くなっていることなどもカナダドルの上値を重くしている要因ではないかと考えています。
◎今週のイベントスケジュール
9月20日(月曜日)
東京市場休場(敬老の日)
中国市場休場(中秋節)
カナダ総選挙
9月21日(火曜日)
中国市場休場(中秋節)
10:30 AUD RBA理事会議事要旨
16:05 EUR デギントスECB副総裁発言
16:30 SEK スウェーデン政策金利発表
21:30 USD 米建築許可件数
9月22日(水曜日)
香港市場休場
02:00 USD 米20年債入札
11:00 AUD ブロックRBA総裁補佐発言
12:00前後 JPY 日銀金融政策決定会合・声明文発表
15:30 JPY 黒田日銀総裁記者会見
23:00 EUR ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)
23:00 USD 中古住宅販売戸数
23:30 USD 原油在庫量
9月23日(木曜日)
東京市場休場(秋分の日)
03:00 USD FOMC政策金利・声明文・経済見通し・ドットチャート発表
03:30 USD パウエルFRB議長記者会見
16:15 EUR フランス製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
16:30 CHF スイス国立銀行(SNB)政策金利発表
16:30 EUR ドイツ製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
17:00 EUR ユーロ圏製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
17:30 GBP 英製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
20:00 GBP 英中銀(BOE)政策金利・声明文・MPC投票配分発表
20:00 TRY トルコ政策金利発表
21:30 USD 米新規失業保険申請件数
21:30 CAD カナダ小売売上高
22:45 USD 米製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
9月24日(金曜日)
17:30 EUR ドイツIFO景況指数
21:45 USD メスター・クリーブランド連銀総裁発言
22:00 GBP テンレイロBOE外部理事発言
23:00 USD パウエルFRB議長、クラリダFRB副議長、ボウマンFRB理事発言
23:00 USD 米新築住宅販売戸数
23:05 USD ジョージ・カンザスシティ連銀総裁発言
9月25日(土曜日)
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント
22:00 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
9月26日(日曜日)
ドイツ連邦議会選挙(総選挙)
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