2023年3月20日
金融政策発表ラッシュで金融不安はどこまで影響するのか!? 「3月20日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週はSVB破綻の影響でリスクオフが進んだり、後退したりと、リスクオフがマーケットの中心となりました。
米国から始まった銀行・金融不安は欧州・英国まで影響しています。
スイスではもともと問題を抱えていたクレディスイスに信用不安が広がり、週末にUBSに買収されることとなりました。
その他にも、世界的に広がっている銀行・金融不安を落ち着かせるために、主要6中銀で協調オペを毎日に拡充との報道も出てきています。
今週は金融政策発表が続き、銀行・金融不安がどこまで金融政策に影響しているのか、中銀が銀行・金融不安についてどのように見通しているのかに注目が集まっています。
今週も銀行・金融不安がマーケットに中心になるのではないかと思っています。
目次
◎今週の注目点
1)金融政策
FOMC
注目度:かなり高い
織り込み度:0.25%利上げを7~8割織り込み済み
バイアス:ドル売り圧力あり
ポイント:利上げ幅・ドットチャート・年内利下げ・SVB破綻の影響
先々週と先週でFOMC見通しが大きく変わりました。
先週はSVB破綻の影響でマーケットは右往左往し、リスクオフが進む展開となりました。
一時は3月FOMCで0.5%利上げの可能性が出てくる状況でしたが、SVB破綻の影響から0.5%利上げの可能性はゼロになり、0.25%利上げの可能性が高くなり、一部では据え置きの可能性も急浮上しています。
今回のFOMCで据え置きが発表されるようなことがあれば、ドル売りが一気に加速するのではないかとおもいます。
また、ターミナルレート(利上げの最終水準)も一時は6%に届く勢いでしたが、現在の予想では5%程度まで後退するのではないかと注目されています。
FOMCと同時発表されるドットチャートからターミナルレート(利上げの最終水準)がどの程度になるのか注目です。
ドットチャートからは年内利下げの可能性にも注目したいと思います。
2月FOMCの記者会見でパウエルFRB議長は年内の利下げは否定しており、12月FOMCのドットチャートからも23年の利下げの可能性は低い状況でした。
SVB破綻の影響で23年利下げの可能性が出てきているようであればドル売りが進む可能性が出てくると思います。
最後にSVB破綻の影響がどこまでなのか記者会見に注目したいと思います。
FRBはSVB破綻を受けて銀行規制強化を検討しているとの報道がありましたが、流動性確保のため最大2兆ドルの貸出プログラムによる資金供給との報道もあります。
資金供給となればステルスQE(量的緩和)になるのではないかとの噂もあり、金利が低下してドル売りが進んでいます。
マーケットにSVB破綻の影響が出始めて以降は、ブラックアウト期間でFRB要人の発言が見えてきていません。
記者会見でSVBに対しどのような対応をとるのか、どのように見ているのか、パウエルFRB議長の発言内容に注目です。
スイス国立銀行(SNB)
注目度:かなり高い
織り込み度:据え置きを8割織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント:利上げペース(見通し)と銀行不安について
スイスでは対前年比で物価が上昇しています。
このことで本来は追加利上げの可能性が出ていたのですが、米SVB破綻の影響が欧州・スイス銀行まで広がりクレディスイスの信用コストはリーマンショック級高まり、今回の金融政策発表では据え置きが発表されるのではないかとの予想が高くなっています。
今回の銀行信用不安による問題の対応と見通し、インフレ見通しについて影響が出てくるのか、利上げペースについてどのように見通しているのか、声明文に注目です。
英中銀(BOE)
注目度:高い
織り込み度:0.25%利上げ予想が優勢
バイアス:ポンドの上値が重い
ポイント:利上げ幅とMPC投票配分、銀行不安について
インフレ抑制を最優先するFRBやECBに比べて、英中銀はややハト派なスタンスをとってきました。
ただ、1月CPI(消費者物価指数)は前年比で10%台となっており、追加の引き締めが必要な状況です。
先日発表された雇用統計で平均賃金の結果から人件費の鈍化が見えてきています。
2月CPI(消費者物価指数)の結果からインフレ鈍化が見えてくるようであれば経済を優先させる可能性があります。
欧米で問題となっている銀行信用不安は英国にも影響があると思われます。
銀行信用問題を優先させて据え置きを選択する可能性があると一部では予想されています。
今回の利上げが実施されるのか、今後の利上げペースはどうなのかに注目です。
また、利上げが実施されたとして、どのくらいの投票数をもって利上げが実施されたのかMPC投票配分にも注目です。
ギリギリで利上げ実施だった場合は、利上げを発表してもポンド売りに繋がる可能性があるので注目しています。
あとは、声明文で銀行信用不安について触れられているのかにも注意しておきたいと思います。
RBA理事会議事要旨
先日のRBA理事会の声明文で「CPI(消費者物価指数)は豪インフレがピークに達したことを示唆」との見解が示され、前回までの「金融引き締め策を数カ月
議事要旨の内容が、さらにハト派な内容が出てくるようであれば豪ドル売りが加速するのではないかと注目しています。
2)経済指標
カナダCPI(消費者物価指数)
カナダ中銀は利上げを停止しています。
今回発表のCPI(消費者物価指数)が予想通りインフレが鈍化しているようであればカナダ中銀は様子見、予想を上回るインフレが確認できた場合は追加利上げの可能性に繋がるのではないかと注目しています。
追加利上げの可能性が出てくればカナダドル買いに繋がるのではないかと思っています。
英CPI(消費者物価指数)
1月CPI(消費者物価指数)は10%を超える物価高が示されました。
その後14日に発表された英雇用統計では平均賃金の鈍化が確認されています。
人件費の鈍化から2月CPI(消費者物価指数)のインフレ鈍化が期待されています。
どこまでインフレが鈍化しているのかに注目です。
また、英中銀の金融政策発表直前のCPI(消費者物価指数)なので注目です。
製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
欧米英ともに中銀によるハイペースの利上げで景気後退が注目されています。
今回の製造業・サービス業・総合PMI(速報値)は、SVB破綻の影響による銀行・金融不安は結果に反映されていないと思います。
その上で、どこまで景況感を保てるのかに注目です。
すでに景況感の悪化が見えた場合は、SVB破綻の影響を受けるとさらに景況感が悪化するのではないかと思います。
3)リスク要因
SVB破綻に始まり、世界的な銀行・金融不安につながっています。
もともと問題を抱えていたクレディスイスはUBSに買収という形で、スイス国立銀行の融資を受けることになりました。
主要6中銀(FRB・ECB・日銀・英中銀・カナダ中銀・スイス国立銀行)は4月末まで金融システム保護のため、協調オペを発表しています。
このことで銀行・金融不安が落ち着きを取り戻し、リスクオフが後退するのか注目です。
次の問題が起きないのか、次はどこに問題が起きるのか、銀行や金融不安についてのヘッドラインに注目です。
◎今週のイベントスケジュール
3月20日(月曜日)
07:10 AUD ケントRBA総裁補佐発言
08:50 JPY 日銀金融政策決定会合における主な意見
3月21日(火曜日)
東京市場休場(春分の日)
06:45 NZD NZ貿易収支
09:30 AUD RBA理事会議事要旨
19:00 EUR ドイツ・ユーロ圏ZEW景況感指数
21:30 CAD カナダCPI(消費者物価指数)
21:30 EUR ラガルドECB総裁、ビルロワ・フランス中銀総裁発言
23:00 USD 米中古住宅販売戸数
3月22日(水曜日)
02:00 USD 米20年債入札
16:00 GBP 英CPI(消費者物価指数)
17:45 EUR ラガルドECB総裁発言
18:30 EUR レーンECB専務理事兼主席エコノミスト発言
20:30 EUR レーン・フィンランド中銀総裁発言
21:00 EUR ウンシュ・ベルギー中銀総裁発言
22:45 EUR パネッタECB専務理事発言
23:30 USD 原油在庫量
3月23日(木曜日)
01:45 EUR ナーゲル・ドイツ連銀総裁発言
03:00 USD FOMC・政策金利・声明文・ドットチャート
03:30 USD パウエルFRB議長記者会見
17:30 CHF スイス国立銀行(SNB)政策金利発表
19:00 EUR ホルツマン・オーストリア中銀総裁発言
20:00 TRY トルコ政策金利発表
21:00 GBP 英中銀(BOE)政策金利・声明文・MPC投票配分発表
21:30 USD 米失業保険申請件数
23:00 USD 米新築住宅販売戸数
3月24日(金曜日)
00:00 EUR ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)
08:50 JPY 日本CPI(消費者物価指数)
16:00 GBP 英小売売上高
17:15 EUR フランス製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
17:30 EUR ドイツ製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
18:00 EUR ユーロ圏製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
18:30 GBP 英製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
21:30 USD 米耐久財受注
21:30 CAD カナダ小売売上高
22:45 USD 米製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
3月25日(土曜日)
01:00 GBP マンBOE外部理事発言
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント