2025年3月2日
雇用統計やISMなど重要指標ラッシュの1週間 「3月3日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週末に行われたゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会談は口論となり決裂しました。
会談決裂を受けてウクライナリスクが高まり、リスクオフが進んでいます。
今週は3月第1週ということで雇用指標をはじめ重要指標ラッシュとなっています。
また、ECB理事会やリスク要因による動きも考えられ、ボラティリティの大きい1週間となるのではないかと考えています。
目次
◎今週の注目点
1)金融政策
ECB理事会
注目度:高い
織り込み度:0.25%利下げを織り込み済み
バイアス:ユーロの上値重い
ポイント:ターミナルレート(利下げの最終水準)
ECB理事会は追加利下げが織り込まれています。
注目は、今回の利下げが満場一致なのか、ターミナルレート(利下げの最終水準)をどの辺に考えているのかです。
中立金利に近づいてきている状況でタカ派の理事は利下げに反対する可能性もあるのではないかと思います。
記者会見などで反対する理事がいたのかに注目したいと思います。
また、今後の追加利下げについてどのように考えているのか、ターミナルレート(利下げの最終水準)に注目したいと思います。
追加利下げの可能性が後退するようであればユーロが底堅くなってくるのではないかと考えています。
2)経済指標
ISM製造業景況指数
米国の経済は少しづつ後退してきているのではないかと注目されています。
ISM製造業景況指数は「50」を分岐点に、上回れば好景気、下回れば景気後退を見通してることとなります。
製造業の見通しが景気後退となれば利下げ期待が高まり、ドル売りが加速するのではないかと思います。
豪四半期GDP
豪州RBA強い雇用やCPIを受けて追加利下げ期待が後退しています。
GDPも強い結果が出てくるようであれば追加利下げ期待がさらに後退し、豪ドル買いが進むのではないかと考えています。
スイスCPI(消費者物価指数)
スイス中銀は政策金利についてマイナス金利の可能性も排除できないとしています。
CPIの結果が弱ければスイス中銀の追加利下げの追い風となり、スイスフラン売りが進むのではないかと思います。
ただ、ウクライナ問題やトランプ関税リスクなどからリスク回避のフラン買いが進む可能性もあるので、利下げ期待によるフラン売りが続かない可能性には注意しておきたいと思います。
ADP雇用統計
週末の雇用統計の先行指標としてADP雇用統計に注目。
年内2回の利下げ予想から、年内3回利下げ予想に進んできていますが、雇用統計の結果が強い結果となれば再度2回利下げ予想に後退する可能性があります。
予想よりも強い結果が出てくるのか、弱い結果が出てくるのか注目したいと思います。
ISM非製造業景況指数
米国の経済は少しづつ後退してきているのではないかと注目されています。
ISM非製造業景況指数は「50」を分岐点に、上回れば好景気、下回れば景気後退を見通してることとなります。
米国は消費大国でGDPのうちサービス業が占める割合が高いため、サービス業(非製造業)が重要になります。
ISM非製造業景況指数が予想以上に悪化していた場合は追加利下げ期待につながり、ドル売りが進むのではないかと思います。
米失業保険申請件数
失業保険申請件数は毎週発表されるため、雇用指標の先行指標として注目されています。
失業保険申請件数が悪化すれば失業率の悪化につながる可能性が高く、ドル売りが進む可能性があり注目しています。
カナダ雇用統計・失業率
カナダは利下げによって経済が回復してきているとしています。
どこまで経済が回復してきているのか、雇用結果に注目したいと思います。
特にどこまで失業率が回復してきているのかに注目したいと思います。
改善してきているようであれば追加利下げ期待が後退し、カナダドル買いが進むのではないかと思います。
ただ、カナダはトランプ関税のリスクがあり、リスクによるカナダドル売りが進む可能性があるので指標結果と合わせて注意しておきたいと思います。
NFP雇用統計・失業率・平均時給
米国の利下げ予想は年内2回から3回へ利下げ期待が進んできています。
雇用統計の結果が予想通りや強いものとなれば利下げ期待が後退、弱い結果となれば利下げ期待が進むのではないかと考えています。
特に失業率に注目、次に雇用者数に注目したいと思います。
3)リスク要因
関税リスク
トランプ大統領はカナダやメキシコ、中国に対しての関税について4月に先送りすると言っていましたが、先週SNSで3月4日に関税を発動すると発信しました。
関税を外交・交渉の材料として使っているトランプ大統領は、関税の発動について二転三転しています。
本当に3月4日に関税が発動するのか、先送りになるのか、関税が発動した場合に各国にどのような影響があるのか注意しておきたいと思います。
その他、欧州(EU)に対しても関税を課すとしており、どのような内容や日程になるのか注意しておきたいと思います。
カナダやメキシコ、中国が報復として関税を発動するのか、欧州含め各国の対応にも注意しておきたいと思います。
ウクライナ問題
先週末にゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会談が行われましたが、口論となり決裂しました。
これにより、今後の米国のウクライナ支援に変化が出てくるのか、トランプ大統領とプーチン露大統領が近づくのか、ウクライナを取り巻く環境に注目です。
米国がウクライナ支援をやめるとなると欧州の負担が大きくなり、ロシアは優位になる可能性があります。
そうなるとウクライナ問題によるリスクが高まる可能性があるので注意しておきたいと思います。
◎今週のイベントスケジュール
3月3日(月曜日)
10:45 CNY 財新製造業PMI
17:50 EUR フランス製造業PMI(改定値)
17:55 EUR ドイツ製造業PMI(改定値)
18:00 EUR ユーロ圏製造業PMI(改定値)
18:30 GBP 英製造業PMI(改定値)
19:00 EUR ユーロ圏HICP(消費者物価指数)(速報値)
23:45 USD 米製造業PMI(改定値)
3月4日(火曜日)
00:00 USD ISM製造業景況指数
02:35 USD ムサレム・セントルイス連銀総裁発言
09:30 AUD 豪小売売上高、RBA理事会議事要旨
3月5日(水曜日)
中国全国人民代表大会(全人代)開幕(北京)
04:20 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
09:30 AUD 豪四半期GDP
10:30 JPY 内田日銀副総裁発言
10:45 CNY 財新サービス業PMI
16:30 CHF スイスCPI(消費者物価指数)
17:50 EUR フランス総合・サービス業PMI(改定値)
17:55 EUR ドイツ総合・サービス業PMI(改定値)
18:00 EUR ユーロ圏総合・サービス業PMI(改定値)
18:30 GBP 英総合・サービス業PMI(改定値)
22:15 USD ADP雇用統計
23:30 GBP ベイリーBOE総裁、ピルBOE主席エコノミスト、グリーンBOE外部理事発言
23:45 USD 米総合・サービス業PMI(改定値)
3月6日(木曜日)
00:00 USD ISM非製造業景況指数
00:30 USD 原油在庫量
04:00 USD ベージュブック(地区連銀経済報告)
20:00 TRY トルコ中銀政策金利
22:15 EUR ECB理事会・政策金利・声明文・スタッフ予想発表
22:30 USD 米失業保険申請件数
22:45 EUR ラガルドECB総裁発言(記者会見)
3月7日(金曜日)
05:30 USD ウォラーFRB理事発言
09:00 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁発言
18:30 EUR ラガルドECB総裁、ナーゲル・ドイツ連銀総裁、クノット・オランダ中銀総裁、パネッタ・イタリア中銀総裁発言
22:30 CAD カナダ雇用統計・失業率
22:30 USD NFP雇用統計・失業率・平均時給
3月8日(土曜日)
00:45 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
03:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント