2018年9月30日
イタリア発、財政危機なるか!? イタリア予算案とユーロ下落について解説!!
記事を書いた人:岡ちゃんマン
目次
財政危機!? ユーロ下落!?
イタリア発の財政危機懸念が注目されています。
9月27日に発表された、イタリアの来年度予算案が原因でユーロは大きく下落しました。
イタリア来年度予算案
イタリアの来年度予算案について、前々から注目されていました。
イタリアの公的債務(国の借金)は大きくなっています。
債務を減らすために、出来るだけ予算を少なく抑えたいトリア財務相。
先日の選挙で、経済立て直しのために、予算を組むと公約実現のため、予算を拡大したい現在の連立与党(同盟・五つ星)。
予算削減のトリア財務相vs予算拡大の連立与党(同盟・五つ星)の駆け引きが続いていました。 結果、連立与党の予算案が取り入れられ、財政赤字GDP比2.4%という予算拡大案でした。
イタリア予算とユーロの関係
なぜ、イタリアの予算案拡大や縮小の何が問題なのか!? なぜユーロ下落につながるのか!? 大きく分けると以下の2点だと思います。
1)国債の格付け見直し
10月には、ムーディーズとS&Pの格付け見直しが予定されています。現在イタリア格付けは投資適格級ランクで、下から2番目の状況にあります。 さすがに今回の格付け見直しで、2段階の引き下げ(ジャンク債)は考えにくいですが、格付けが下がれば資金調達コストが上がってしまいます。 そうなれば、イタリアの経済は後退。 イタリア発の経済・財政危機になりかねません。
※投資適格級から外れてしまう=ジャンク債
ジャンク債扱いになると大手投資銀行や保険会社などは無条件で資金引き上げになってしまいます。
2)EU規律・承認問題
EU(欧州連合)では、ギリシャショックが再度起きないように加盟各国に予算案の提出を義務付けました。 提出された予算案はEUの規律に決められた内容になっているかなどを吟味して、承認されます。 EU規律の中には、GDPに対しての債務比率や財政赤字などがあります。
今回のイタリア予算案で注目されているのも、財政赤字がGDPに対して何%になるかです。 EUの規律では3%以内ということですが、イタリアは公的債務が大きく膨らんでいるため通常の3%では承認されない懸念があります。
※個人的見解で言えば、財政赤字がGDP比2%が承認されるかのボーダーラインだと考えています。
上記2点が注目される中、9月27日に予算案が発表されると言われていました。 27日の午前中(日本時間)にBloombergから予算案発表が延期されると報道。 ユーロは下落を始めました。 その後否定報道が出るもユーロの戻しは限定的でした。 その後1.6%~1.9%くらいに抑えられるのではないかと言われていた予算案が、2%を超えるかもしれないと伝わるとユーロの下げが加速し、最終的にGDP比2.4%という数字が発表されました。
イタリア予算案、財政赤字GDP比2.4%という数字は、EU規律内ではあるものの承認されるかは微妙なラインです。 承認されなければ、再度予算案の作り直しになります。 また、GDP比2.4%という数字が発表されると、10月の格付け見直しは格下げ確実ではないかと報道が出てきています。 上記でも書いたように、格下げとなればイタリアには大きな痛手となるかと思います。 イタリア国債に格下げ懸念が現れ、利回りは上昇しています。 前回の高値、格付け発表が予定されていた8月31日に近づいてきています。
イタリアの予算案に関するスケジュール
10月15日 EUへ予算案提出
10月20日 イタリア議会に予算案提出
10月26日 S&P格付け発表
10月中 ムーディーズ格付け発表
11月30日 EUによる予算案承認期限
とりあえず決まっているスケジュールは上記の通りですが、EU側から修正案や新しい予算案の提出義務などが急遽発表される可能性もあります。 今後のイタリア予算案にかかわる報道に注目です。