ドル円は再度145円を目指すのか!? 「7月10日週の注目点とイベントスケジュール」

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2023年7月10日

ドル円は再度145円を目指すのか!? 「7月10日週の注目点とイベントスケジュール」

記事を書いた人:岡ちゃんマン

 

先週は週初めの米指標ラッシュの1週間でした。

ADP雇用統計で市場予想を倍ほど上回る結果が出てきたことで米金利は上昇し、ドル買いが進みました。

7月FOMCの利上げ確率は9割を超えて完全に織り込み、米金利は一時は4.0898%前後と昨年11月10日以来約8カ月ぶりの高水準を記録しました。

 

ただ、週末に発表されたNFP雇用統計は市場予想を下回る結果となったことでドル売りで反応しました。

注目されていた平均時給は市場予想を上回ったことで根強い賃金インフレが確認されたことで一時はドル売りを支えましたが、今まで買われていた米ドルが売られ始めると大きくドル売りが進み、ドル円は一時142.07円と6月22日以来の安値を更新しました。

 

ドル円の下落の背景にはドル売りだけでなく円買いが進んだことも要因となっています。

先週、内田真一日銀副総裁が「長短金利操作(YCC)の見直しは金融仲介や市場機能に配慮しつつ、バランスをとって判断していきたい」と発言したことで、7月の会合でYCC(イールドカーブ・コントロール)の見直し期待が高まり円買いが進んでいます。

また、買いが進んでいた日本株の調整売りが進み、日経平均が大きく下落したことでリスクオフが進み円買いが進んだことも要因となっています。

 

今週は注目の米CPI(消費者物価指数)や、米国金融政策の先行指標でもあるカナダ中銀の金融政策が発表されます。

日銀の介入やYCC(イールドカーブ・コントロール)の修正に注目が集まっているので、クロス円の動きにも注目しておきたいと思います。

目次

◎今週の注目点

 

1)金融政策

 

RBNZ理事会

注目度:高い

織り込み度:据え置きを8割以上織り込み済み

バイアス:NZドルは底堅い

ポイント:追加利上げの可能性と利下げの可能性

 

前回の理事会で5.50%まで政策金利が引き上げられたが、その際の声明文で「金利はピークに達しており、2024年半ばまで当面の間は金利が据え置かれる」との見方が示されたことで、今回の理事会では据え置きが予想されています。

ただ、サプライズの多い中銀だけに利上げの可能性だけは考えてきたいと思います。

また、声明文から追加利上げの可能性がないのかに注目したいと思います。

追加利上げの可能性が見えてくるようであればNZドル買いに繋がるのではないかと思います。

また、前回は24年半ばまで金利を据え置くとの見方ですが、利下げが前倒しにならないのかにも注目しておきたいと思います。

利下げの可能性が前倒しになるようであればNZドルが売られやすくなるのではないかと思います。

 

 

 

カナダ中銀

注目度:高い

織り込み度:据え置きを8割お織り込み済み

バイアス:カナダドルの上値重い

ポイント:年内追加利上げの可能性

 

カナダ中銀は主要中銀の中では早く利上げをはじめ、先行して利上げの一時停止に舵を切りました。

ただ、インフレの高止まりから追加利上げを実施しています。

その後に発表されたCPI(消費者物価指数)は市場予想を下回る結果であったことと、ハイペースの利上げの時期は過ぎたことから今回の会合では据え置きが予想されています。

ポイントは9月の会合で追加利上げがあるのかどうかです。

債券市場のからの予想では9月の会合で0.25%利上げが織り込まれています。

9月の追加利上げが否定されるような声明文であればカナダドル売りが加速するのではないかと思います。

 

 

 

ECB理事会議事要旨

6月のECB理事会で利上げを決定し、追加利上げの可能性も残しています。

どの程度のメンバーが追加利上げに積極的だったのか、ターミナルレート(利上げの最終水準)をどの程度に考えているのかなどを議事要旨から確認したいと思います。

年内あと1回の利上げは織り込み済み、2回目は約半数くらい織り込まれているのではないかと考えています。

議事要旨から2回目を織り込むような内容が出てきた場合はユーロ買いが進むのではないかと思っています。

 

 

 

 

2)経済指標

 

英雇用統計

主要通貨の国でダントツにインフレが高止まりしているのが英国です。

その英国インフレの大きな要因として人出不足による人件費高騰があります。

雇用統計でどの程度雇用市場にゆるみが出てきているのか確認することに加えて、人件費に直結する平均賃金がどの程度伸びているのか注目です。

市場予想を上回る平均賃金が出てくるようであればポンド買いが進む可能性があるので注目です。

ただ、英国はインフレと景気後退が同時におこるスタグフレーション懸念が高まっています。

景気後退が強く意識される展開となればポンド売りが進む可能性があるので、株価と値動きにも注目しておきたいと思います。

 

 

 

米CPI(消費者物価指数)

先週の金曜日に発表されたNFP雇用統計では雇用者数こそ市場予想を下回りましたが、平均時給は市場予想を上回り高い人件費による賃金インフレ懸念が残りました。

ISM非製造業景況指数も市場予想を上回り、強いサービス業も確認されており、インフレの高止まりが懸念されています。

CPI(消費者物価指数)の結果が市場予想を上回り、インフレ高止まりが確認された場合は年内の追加利上げ期待に繋がるのではないかと思います。

年内利上げ期待に変更がないか、CPI(消費者物価指数)発表後の債券市場に注目です。

 

 

 

英GDP

英国はスタグフレーション懸念が高まっています。

GDPが市場予想を下回り、景気後退が懸念されるようになればインフレが進んでいてもポンド売りに繋がる可能性があります。

スタグフレーション懸念が高まれば政府や英中銀の責任を問う声も高まり、政治リスクにつながる可能性もあるのでGDPの結果に注目です。

 

 

 

米PPI(生産者物価指数)

PPI(生産者物価指数)は仕入れ価格であり、CPI(消費者物価指数)の先行指標になります。

PPI(生産者物価指数)の結果が高止まりしていた場合は追加利上げ期待に繋がります。

逆にPPI(生産者物価指数)が市場予想を下回る結果となれば、追加利上げ期待は後退し、金利は低下、ドル売りが進む可能性があるので注目です。

 

 

 

ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)・期待インフレ率

米国は底堅い景気と高止まりしているインフレから追加利上げ期待が高まりドルが底堅くなっています。

ミシガン大学消費者信頼感指数は景気の先行指標として注目されており、市場予想を下回る結果が出てきた場合は景気後退が意識されます。

また、期待インフレ率が低下した場合も追加利上げ期待が後退しドル売りが進むのではないかと思います。

今回は速報値なので、予想と結果が乖離することが多く注目度も高くなっています。

 

 

 

 

3)要人発言

 

主要中銀は追加利上げをするのか、利上げ停止にするのか、年内もしくは来年のどこかで利下げするのか、政策判断の違いが出てくるタイミングです。

特に米英欧で違いが出てくることで大きな値動きに繋がる可能性があります。

金融政策に影響力を持った要人の発言には注意しておきたいと思います。

 

また、日銀に関してはYCC(イールドカーブ・コントロール)の修正に注目が集まっています。

先週、内田真一日銀副総裁が

「長短金利操作(YCC)の見直しは金融仲介や市場機能に配慮しつつ、バランスをとって判断していきたい」

と発言したことで、YCC(イールドカーブ・コントロール)の見直しが出るのではないか!?
との思惑から円買いが進んでいるとの見方が強くなっています。

本来は植田日銀総裁に代わるタイミングで金融政策の方針転換があるのではないかと思われていたことから、7月の日銀でYCC(イールドカーブ・コントロール)の修正が出るのではないかとの思惑に繋がっているようです。

 

金融政策に関する要人発言に注目です。

 

 

 

 

◎今週のイベントスケジュール

 

 

7月10日(月曜日)

 

10:30 CNY 中国CPI(消費者物価指数)

23:00 USD バーFRB副議長発言

 

 

7月11日(火曜日)

 

NATO首脳会議

 

00:00 USD デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁発言

00:00 GBP ベイリーBOE総裁発言

01:00 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁

09:30 AUD 豪Westpac消費者信頼感指数

15:00 EUR ドイツHICP(消費者物価指数)(改定値)

15:00 GBP 英雇用統計・失業率・平均賃金

18:00 EUR ユーロ圏・ドイツZEW景況感指数

 

 

7月12日(水曜日)

 

NATO首脳会議

 

02:00 USD 米3年債入札

11:00 NZD RBNZ理事会・政策金利・声明文発表

12:00 NZD オアRBNZ総裁発言(記者会見)

12:10 AUD ロウRBA総裁発言

15:00 GBP 英中銀金融安定報告書公表

17:00 GBP ベイリーBOE総裁発言(金融安定報告書についての会見)

21:30 USD 米CPI(消費者物価指数)

21:30 USD バーキン・リッチモンド連銀総裁発言

22:00 EUR ブイチッチ・クロアチア中銀総裁発言

22:45 USD カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁発言

22:45 EUR レーンECB専務理事兼主席エコノミスト発言

23:00 CAD カナダ中銀金融政策・声明文発表

23:30 USD 原油在庫量

 

 

7月13日(木曜日)

 

02:00 USD 米10年債入札

02:00 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁

03:00 USD ベージュブック(米地区連銀経済報告)

05:00 USD メスター・クリーブランド連銀総裁発言

15:00 GBP 英GDP

15:45 EUR フランスHICP(消費者物価指数)(改定値)

20:30 EUR ECB理事会議事要旨(6月15日分)

21:30 USD 米PPI(生産者物価指数)、失業保険申請件数

 

 

7月14日(金曜日)

 

G20財務相・中央銀行総裁会議

 

02:00 USD 米30年債入札

03:00 USD 米6月月次財政収支

15:00 SEK スウェーデンCPI(消費者物価指数)

23:00 USD 米ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)・期待インフレ率

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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