2023年10月23日
中東情勢などのリスク要因に注目の1週間! 「10月23日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週のドル円は一時150円を付けましたが、まとまった売りがあったのか40銭の急落となりました。
ただ、押し目買いが強く、すぐに149円後半に戻しています。
日銀の介入が警戒される中で150円を背に狭いレンジで推移を続けています。
今週はECB理事会や来週のFOMCを控えてブラックアウト期間に入っており要人発言がありません。
重要指標も少なく、動きづらい転換が予想されます。
リスク要因などで大きく動く可能性があるので、リスク要因には注意しておきたいと思います。
目次
◎今週の注目点
1)金融政策
カナダ中銀
注目度:高い
織り込み度:据え置き優勢だか一部利上げ予想も・・・
バイアス:特になし
ポイント:利上げ幅と追加利上げの有無
カナダは先日の雇用統計で市場予想を大幅に上回る結果であったことから追加利上げの可能性が高まりましたが、その後に発表されたCPI(消費者物価指数)が大幅に低下しておりイッキに利上げ期待が後退し据え置き予想が優勢となりました。
強い雇用と低下してきた物価についてカナダ中銀がどのように判断するのか、声明文に注目しています。
今回利上げを実施するのか、据え置きであった場合は追加利上げの可能性があるのか、それとも利上げ終了なのか、声明文に注目です。
ECB理事会
注目度:高い
織り込み度:据え置きが優勢(ごく一部で利上げ予想あり)
バイアス:ユーロの上値重い
ポイント:物価・経済見通し
今回のECB理事会は据え置き予想が優勢となっています。
注目は中東情勢やウクライナ情勢などを受けて欧州の経済にどのくらい影響が出てくるのか!?
物価見通しは低下傾向にあり、現在の金利で物価目標を達成できるのか!?
この2点に注目が集まっていると思います。
中東情勢やウクライナ情勢を受けて欧州の経済は大きく影響を受け、景気後退が深刻化しているのではないかと思います。
そのうえでインフレが高止まりする状況となればスタグフレーションの可能性が高まり、ユール売りが進むのではないかと思います。
物価・景気見通しと中東情勢やウクライナ情勢についてどのように語るのか、ラガルドECB総裁の記者会見に要注目です。
2)経済指標
英雇用統計
先日発表予定だった英雇用統計が延期されて、今回発表されます。
平均賃金などは市場予想を下回り、高い水準ではあるがピークは過ぎているように見えます。
今回の雇用統計で失業率が悪化してきていれば雇用の逼迫が緩和され、賃金インフレは落ち着き始めるのではないかと思います。
製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
フランス・ドイツ・ユーロ圏・英国・米国で製造業・サービス業・総合PMI(速報値)が発表されます。
各国、利上げ終了が見えてきており、次の注目は利下げ時期に注目が移ってきています。
PMIは景況感の指標として注目されています。
しかも今回は速報値なので市場予想と結果が乖離しやすいので注目しています。
景況感・PMIが弱い結果となれば利下げ期待が高まるのではないかと注目しています。
豪CPI(消費者物価指数)
先日公表されたRBA理事会議事要旨では追加利上げと据え置きの両方が協議され、据え置きが決定された。
ただ、データ次第では追加利上げの可能性が残っていると発表されました。
今回発表の豪CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回り、高いインフレが確認された場合は追加利上げが期待され豪ドルが買われるのではないかと注目しています。
米GDP(速報値)
FRBがインフレ抑制のためハイペースで利上げを進めてきましたが、米国の経済は底堅く推移しています。
今回発表のGDP(速報値)が強い結果であれば来年の利下げ期待が後退するのではないかと思っています。
年内の追加利上げがあるのか、その後早い時期に利下げがあるのか、マーケットの注目は利上げの残り回数から利下げ時期に移ってきています。
GDP、景気の状況が利下げに影響するのではないかと思っています。
景気の後退が確認されれば、早い時期での利下げが期待されるのではないかとGDPに注目しています。
PCEデフレーター
FRBが最も重要視している物価指標であるPCEデフレーターに注目しています。
FRBはインフレ抑制のため利上げを進めてきました。
CPI(消費者物価指数)では物価の低下が見える結果となっています。
PCEデフレーターでも物価の低下が確認されれば、追加利上げの可能性は後退し、現在の金利水準で利上げ終了となるのではないかと注目しています。
3)リスク要因
米議会
米議会では下院議長の選任に注目しています。
9月末に10月からの新年度予算を巡り対立、政府機関の閉鎖をギリギリで回避し、つなぎ予算を成立させました。
ただ、その後にマッカーシー下院議長が解任され、現在は次期下院議長の選任を待つ状況です。
先週も何回か議長専任の投票が行われましたが議長専任のために必要な票数を獲得できた候補者はいませんでした。
このまま下院議長の選任が遅れれば、その後に行われる予算協議が遅れ、9月末に成立させたつなぎ予算の期限が切れて再度政府機関の閉鎖が警戒される展開となります。
米国のつなぎ予算は11月17日までの予定です。
また、現在中東情勢が不安定な状況で下院議長の選任が遅れれば、イスラエルへの支援決議が遅れ、来年の大統領選挙への影響も出てくるのではないかと注目しています。
中東情勢・ウクライナ情勢
イスラム組織ハマスとイスラエルの対立は激化し、中東情勢は悪化を続けています。
このまま悪化を続け第5次中東戦争に発展するなどした場合は原油価格の高騰により、世界的にリスクオフが進むのではないかと注目しています。
また、中東だけではなくウクライナ情勢など、中東から欧州にかけて緊張状態が続いており、周辺国でも武力衝突が出てきています。
一部報道では米軍がペルシャ湾に空母を配備した、中東にある米軍の駐留基地がミサイル攻撃を受けたなど報じられています。
当初のイスラエルの問題から少しづつ対立が拡大しています。
第3次世界大戦などが噂される展開にならないのか、中東・欧州の情勢に注意しておきたいと思います。
日銀・政府
日銀はYCC(イールドカーブ・コントロール)の修正・撤廃論がたびたび話題に上がります。
月末に日銀金融政策決定会合を控えてることから、金融正常化やYCC(イールドカーブ・コントロール)の修正・撤廃についてヒントがないか発言に注目です。
また、ドル円は介入を警戒して150円を背にした水準で推移しています。
前回150円を超えたときは介入ではなかったと推測されています。
Bloombergは「日本が円相場を支えるために為替市場で介入を余儀なくされる要素はないと、国際通貨基金(IMF)は認識している」と報じています。
150円を手前で安定していることを考えるとボラティリティが高まったとは言えず介入実施にはハードルが上がってきているのではないかと思います。
介入について日銀や政府の発言には注目しておきたいと思います。
以下、去年の口先介入時のものです。
◎今週のイベントスケジュール
10月23日(月曜日)
23:00 EUR ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)
10月24日(火曜日)
15:00 GBP 英雇用統計・失業率
16:15 EUR フランス製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
16:30 EUR ドイツ製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
17:00 EUR ユーロ圏製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
17:00 AUD ブロックRBA総裁発言
17:30 GBP 英製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
22:45 USD 米製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
23:00 USD 米リッチモンド連銀製造業景況指数
10月25日(水曜日)
02:00 USD 米2年債入札
09:30 AUD 豪CPI(消費者物価指数)
17:00 EUR ドイツIFO景況指数
23:00 USD 米新築住宅販売件数
23:00 CAD カナダ中銀政策金利発表
10月26日(木曜日)
02:00 USD 米5年債入札
20:00 TRY トルコ金融政策発表
21:15 EUR ECB理事会・政策金利・声明文発表
21:30 USD 米GDP(速報値)、失業保険申請件数、耐久財受注
21:45 EUR ラガルドECB総裁記者会見
10月27日(金曜日)
01:45 GBP カンリフBOE副総裁発言
02:00 USD 米7年債入札
09:30 AUD 豪PPI(生産者物価指数)
21:30 USD 米PCEデフレーター
23:00 USD ミシガン大学消費者信頼感指数(確定値)・期待インフレ率
10月28日(土曜日)
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント
10月29日(日曜日)
欧州がサマータイム終了(冬時間・標準時に移行)