2021年9月26日
四半期末でリスク要因や要人発言に注意の1週間! 「9月27日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週は注目されていたFOMCが発表され、年内のテーパリング開始が濃厚となり、ドットチャートも6月と比べると9月のほうが利上げ期待が進んでおり、米金利が7月以来の1.4%台まで上昇しました。
記者会見で、経済が予想通り進んだ場合、来年半ばにでも量的緩和の終了との発言も利上げ期待に繋がっています。
また、英中銀(BOE)の金融政策発表でも、MPCメンバー9名のうち2名が引き締めに投票するなど、金融正常化への期待が高まりポンドが買われています。
先週1番話題になったのは中国恒大集団のデフォルトリスクです。
人民元建ては利払いされたとの事ですが、ドル建て債の利払いは延期されデフォルトリスクは継続しています。
今週は月末・月初のの週なので、月末要因などには注意して、仲値やロンドンFIX前後の動きに注意しておきたいと負います。
目次
◎今週の注目点
1)リスク要因
米予算・債務上限問題
米国では政府予算が底をつき、政府機関の閉鎖が懸念されていて、債務上限の引き上げとつなぎ予算法案が成立するかがポイントとなりそうです。
米議会ではつなぎ予算と債務上限引き上げについて議論され、下院は通過しましたが上院で共和党の反対を受けている状況です。
今週末に向け、上院議会で債務上限を含むつなぎ予算法案の採決に持っていきたいところですが、共和党の反対を説得できるのかに注目が集まっています。
このまま法案が成立しないままだと、10月中旬もしくは10月末までに政府機関の閉鎖やデフォルトが起きるかもしれません。
中国恒大集団リスク
中国恒大集団はデフォルトリスクが継続しており、今週も話題になりそうです。
先週は人民元建て社債は利払いされ、ドル建て利払いについては延期と発表されたことで、一旦はリスクオフが後退していますが、今週も新たな利払いがあるためリスクとして意識されるのではないかと注目しています。
また、中国恒大集団や傘下のEV事業など、関連企業を含め賃金の未払いや資金繰りの悪化が注目され、実害も出てくるのではないかと注目しています。
デフォルトリスクや資金繰りリスクが再度意識されるようになるとリスクオフが進む可能性があるので、ヘッドラインに注目です。
ドイツ政治リスク
ドイツでは選挙が実施され、政権交代・連立交渉に注目が集まります。
選挙結果は第1報が日曜25時(日本時間)くらいに発表され、そのご開票作業が進み27日中には結果がわかるのではないかと思われます。
現与党のCDU党、野党SPD党、環境意識の高い欧州で勢力を伸ばす緑の党、どの政党が第1党になるかは分かりませんが、どの党が第1党になっても過半数を獲得することは難しく連立政権となります。
前回の選挙では、選挙後に連立交渉に時間がかかり、政権樹立まで時間がかかり政治混乱に繋がりました。
コロナ禍で、アフガン問題からの難問問題など、難しい政治局面で絶対的リーダー不在となったドイツが、すんなりと連立政権樹立し、政治を安定させることができるか注目です。
政治混乱に繋がれば、ユーロの上値を重くする可能性があります。
2)要人発言
27日20:45~ 欧州議会証言
28日23:00~ 上院議会証言
30日00:45~ EUフォーラム
FOMCメンバー発言のポイント
利上げ発言に注目!
先日のFOMCで年内のテーパリングは確実視され、次の焦点は利上げ開始時期に移っています。
9月のドットチャートでは23年に利上げが濃厚ですが、22年利上げ支持も数名います。
ここからの要人発言で22年利上げ期待が高まれば、ドル買いが進む可能性があるので注目です。
特に、22年の投票権を持つFOMCメンバーには要注目です。
ECB理事会メンバー発言のポイント
先日のECB理事会でPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の減額を決定しましたが、ラガルドECB総裁は調整であってテーパリングではないと記者会見で発言。
ただ、理事会の中でもタカ派の理事は、PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の終了条件はそろっていると発言。
逆にハト派の理事は、PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)を終了した場合はAPP(資産購入プログラム)の拡大をするべきと発言しています。
ハト派とタカ派の理事で温度差がある中、タカ派の理事がどこまで増えてくるのか、発言内容に注目です。
英中銀MPCメンバー発言のポイント
英中銀(BOE)では、先日の政策発表で引き締めに2票投票されたことで利上げ期待が高まっています。
英中銀はテーパリングよりも先に利上げという発言もあったことから、利上げ期待に繋がっている模様。
一部では来年2月や、今年11月などとの噂も出ています。
要人発言から、利上げ期待が高まり、前倒しに繋がるような発言が出てくるとポンドに上昇に繋がるのではないかと注目です。
3)経済指標
欧州物価指標・HICP(消費者物価指数)
先月の欧州では、インフラが進む国では3%を超え、ユーロ圏総合でも3%を超える状況となっています。
ECBは物価上昇は一時的として、引き締めには動きませんでした。
今月の物価指標で先月よりもインフレが進むようであれば、タカ派の理事が増えるのではないかと注目しています。
物価上昇・インフレが進めば12月の理事会でテーパリングに進む可能性が出てくるのではないかと注目しています。
中国製造業・非製造業PMI・財新製造業PMI
中国はコロナからいち早く経済回復しましたが、最近では回復のピークアウトが懸念されています。
また、中国恒大集団のデフォルト懸念や関連企業への影響、中国恒大集団のように規制強化で苦しくなっている企業が多いのではないかと、中国バブルの崩壊が懸念されています。
今週発表の中国製造業・非製造業PMIや財新製造業PMIが先月と比べて悪化していないか注目です。
米PCEデフレーター
米国FRBが重要視している物価指標です。
FRBはCPI(消費者物価指数)よりも、PCEデフレーターを重要視すると言っていることから重要な経済指標です。
物価上昇が明らかになれば利上げ期待も進み無のではないかと注目です。
米ISM製造業景況指数
米国でもコロナからの経済回復がピークアウトしているのではないかと懸念が出ています。
また、半導体不足なども製造業の足枷となっているようです。
製造業の今後の景況感がどのくらい強いものなのか、ISM製造業景況指数の結果に注目です。
◎今週の注目通貨
1)米ドル
スタンス:米ドル買い
今週は要人発言にPCEデフレーター、ISM製造業景況指数と材料が豊富です。
先週のFOMCで利上げ期待が高まり、米金利は上昇しています。
このまま発言や指標で利上げ期待が高まればドル買いが進む可能性が高いと思っています。
ただ、予算問題や債務上限問題が意識されるとドルが売られる可能性があるので、ヘッドラインには注意しておきたいと思います。
2)ユーロ
スタンス:ユーロ売り
ドイツ選挙後の連立交渉などで政治混乱が予想されることからユーロ売りを考えています。
連立交渉が長引き、混乱すればユーロは大きく売られるのではないかと考えています。
ただ、今週は欧州各国で物価指標であるHICP(消費者物価指数)の速報値が発表され、物価上昇が見えてくると引き締め期待が高まり、ユーロ買いが進む可能性があるので注目です。
3)豪ドル
スタンス:豪ドル買い
豪州は中国リスクやRBA理事会のハト派スタンスから豪ドル売りが進んでいましたが、どちらもある程度織り込んだのではないかと考えています。
IMM通貨先物ポジションで豪ドルの売りはかなり溜まっており、そろそろ買い戻しが入るのではないかと考えています。
このことから、そろそろ豪ドル売りは終わるのではないかと考え、豪ドルを買ってみようと思います。
4)ポンド
スタンス:ポンド買い
英国は2名の引き締め票から利上げ期待が高まり、ポンド買いに繋がっています。
今週はベイリーBOE総裁の発言があり、利上げ期待が高まるような内容が出てくるか注目です。
また、経済活動正常化に向けて動いている英国の経済成長がどこまで進んでいるのか、月次GDPの結果に注目です。
◎今週のイベントスケジュール
9月26日(日曜日)
ドイツ総選挙(連邦議会選挙)
9月27日(月曜日)
20:45 EUR ラガルドECB総裁発言(欧州議会出席)
21:00 USD エバンズ・シカゴ連銀総裁発言(23年投票権)
21:30 USD 米耐久財受注
22:00 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
9月28日(火曜日)
01:00 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
01:15 USD ブレイナードFRB理事発言
01:30 EUR デコス・スペイン中銀総裁発言
02:00 USD 米2年債・5年債入札
03:00 GBP ベイリーBOE総裁発言
08:50 JPY 日銀金融政策決定会合議事要旨
10:30 AUD 豪小売売上高
15:00 EUR 独Gfk消費者信頼感指数
21:00 EUR ラガルドECB総裁発言
22:00 USD エバンズ・シカゴ連銀総裁発言(23年投票権)
23:00 USD 米消費者信頼感指数
23:00 USD パウエルFRB議長、イエレン財務長官発言(上院議会証言)
9月29日(水曜日)
自民党総裁選投開票
02:00 USD 米7年債入札
04:00 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁
08:00 USD ブラード・セントルイス連銀総裁発言(22年投票権)
16:00 EUR スペインHICP(消費者物価指数)(速報値)
18:00 EUR ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値)
23:00 USD 米中古住宅販売保留
23:30 USD 原油在庫量
9月30日(木曜日)
00:45 GBP ベイリーBOE総裁発言(ECBフォーラム出席)
00:45 USD パウエルFRB議長発言(ECBフォーラム出席)
00:45 JPY 黒田日銀総裁発言(ECBフォーラム出席)
00:45 EUR ラガルドECB総裁発言(ECBフォーラム出席)
03:00 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁
10:00 CNY 中国製造業・非製造業PMI
10:30 AUD 豪建築許可件数
10:45 CNY 財新製造業PMI
15:00 GBP 英GDP(月次)(4~6月期改定値)
15:45 EUR フランスHICP(消費者物価指数)(速報値)
16:10 JPY 黒田日銀総裁発言
16:55 EUR ドイツ雇用統計・失業率
18:00 EUR イタリアHICP(消費者物価指数)(速報値)
18:00 EUR ユーロ圏失業率
21:00 EUR ドイツHICP(消費者物価指数)(速報値)
21:30 USD 米4~6月期GDP(確定値)・新規失業保険申請件数
23:00 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
10月1日(金曜日)
00:00 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁
01:30 USD エバンズ・シカゴ連銀総裁発言(23年投票権)
02:05 USD ブラード・セントルイス連銀総裁発言(22年投票権)
03:00 MXN メキシコ金融政策決定会合
04:30 USD ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁発言(23年投票権)
08:50 JPY 日銀短観・日銀金融政策決定会合における主な意見
16:50 EUR フランス製造業PMI(改定値)
16:55 EUR ドイツ製造業PMI(改定値)
17:00 EUR ユーロ圏製造業PMI(改定値)
17:30 GBP 英製造業PMI(改定値)
18:00 EUR ユーロ圏HICP(消費者物価指数)(速報値)
21:30 USD 米PCEデフレーター
21:30 CAD カナダGDP
22:45 USD 米製造業PMI(改定値)
23:00 USD ISM製造業景況指数・ミシガン大学消費者信頼感指数
10月2日(土曜日)
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント
02:00 USD メスター・クリーブランド連銀総裁発言
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