2021年12月12日
政策発表ラッシュで大荒れの予感の1週間! 「12月13日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週は今週の政策発表ラッシュを控えて動きづらい展開が続きました。
豪州やカナダで政策発表がありましたが、予想通りの据え置きが発表されました。
豪州はもともとハト派と思われていたことで、発表後は豪ドルの買い戻しとなりましたが、カナダはタカ派期待が強かったことから発表後はカナダドルの売りが続いています。
今週は米国や欧州、英国、日本、スイス、トルコなどで金融政策が発表されます。
今週の政策発表で年内の主だったイベントは終了となります。
欧米はクリスマスから年末にかけてしっかりと休みます。
このことから今週が年内の取引チャンスの最終週だと考えています。
目次
◎今週の注目点
1)金融政策発表
FOMC
注目度:高い
織り込み度:テーパリングの加速を5割織り込み
バイアス:ドル高
ポイント:テーパリングの加速
11月のFOMCでテーパリングを発表し、月に150億ドル(資産購入100億ドル・MBS50億ドル)づつ減額していくと発表しています。
ただ、その後発表された物価指標で1990年以来の高水準が発表され、パウエルFRB議長も物価高が一時的という表現を止める時が来たと発言し、物価上昇が懸念される状況となっています。
このことで、テーパリングを加速するのではないかと期待が高まっています。
一部では月に300億ドル(資産購入200億ドル・MBS100億ドル)に倍増させるのではないかと予想されています。
まだまだ完全にはテーパリングの加速を織り込んではいないので、テーパリングの加速が発表されても現状維持でも、どちらが発表されても大きく動くのではないかと注目が集まっています。
英中銀
注目度:高い
織り込み度:利上げを5割織り込み
バイアス:特になし
ポイント:利上げの有無と投票配分
英中銀は11月の政策発表で利上げが期待されていましたが、据え置きが発表されました。
しかも利上げに投票したのは2名だけということでポンドは大きく売られました。
それから、英国では物価高が進んでいて、要人発言からも利上げ期待が進んでいます。
今回の政策発表でも利上げがあるのではないかと期待が高まっています。
ただ、利上げ織り込み度は5割∼7割といったところです。
どちらが発表されても大きく動く可能性が高く注目です。
また、据え置きが発表された上で、利上げ投票が2名から変わっていなかった場合は再度ポンドは大きく売られるのではないかと考えています。
ECB理事会
注目度:高い
織り込み度:追加緩和を織り込み始めている
バイアス:ユーロ安
ポイント:PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の見直しと追加緩和
ECBは12月の理事会でPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の見直しをするといっており、どのような金融政策が発表されるか注目が集まっています。
現状のPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)は来年3月で終了の予定で、新たなPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)が発表されるのか、そのまま終了か、それとも現状のAPP(資産購入プログラム)のルールを変更して増額するのか、政策内容に注目です。
先週の要人発言からは追加緩和する可能性が高くなっていますが、完全には織り込まれていないことからそのような結果が発表されても大きく動く可能性が高いのではないかと注目しています。
日銀
注目度:低い
織り込み度:現状維持を織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント:黒田日銀総裁の記者会見
日銀は現状維持が発表されると予想され、ほとんど注目されていません。
なので、今回も動かないと思われます。
注意しておきたいと思うのは黒田日銀総裁の記者会見で、進む円安についてどのような発言が出てくるのかです。
円安を止めるような発言が出てくると円高に振れる可能性があるので、一応注意しておきたいと思います。
スイス
注目度:低い
織り込み度:現状維持を織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント:現状維持の発表と記者会見
スイスは日銀同様に現状維持を発表すると織り込まれている為、大きな値動きには繋がらないと思われます。
為替介入やフラン高に警戒する発言が出てくると思います。
トルコ
注目度:高い
織り込み度:1%の追加利下げの可能性を少し織り込んでいる
バイアス:トルコリラ安
ポイント:追加利下げが発表されるかと、どこまでリラ安が進むのか
エルドアン大統領は低金利がインフレ抑制になると発言し、利上げを行ってきた中銀総裁を更迭してきました。
現在のトルコ中銀はエルドアン大統領の利下げ圧力に負けて、利下げを進めています。
そのためトルコリラは売られ続け、為替介入をしてもリラ安が止まらない状況です。
今回の政策発表でも利下げを発表した場合、さらにリラ安が進みクラッシュする可能性があるので注目です。
2)経済指標
英雇用統計
英国は人手不足が問題となっており、どこまで賃金が上昇しているのか注目です。
人手不足なので求職者が少ないので失業率は低下傾向にあります。
なので、失業率の低下よりもどこまで雇用者数が伸びているのかや賃金がどこまで上昇しているのかに注目が集まっています。
また、賃金が上昇している分は、企業の人件費コストに繋がり、結果的に商品価格に転嫁し物価上昇要因に繋がります。
物価高が英国でも問題となっているので、賃金上昇は良いことではなくリスクとして受け止められる可能性があります。
英CPI(消費者物価指数)
英国でも物価上昇が問題となっており、物価高を抑える為に利上げするのではないかと注目が集まっています。
今回発表される物価が予想を上回るようであれば利上げ期待に繋がり、ポンド買いに繋がるのではないかと注目しています。
前日に発表される平均賃金と併せて注目です。
カナダCPI(消費者物価指数)
物価高はカナダでも注目されており、CPI(消費者物価指数)に注目が集まっています。
予想を上回る結果が出てきた場合、来年の利上げの前倒し期待に繋がりカナダドル買いに繋がるのではないかと考えています。
NZ四半期GDP
ニュージー中銀は利上げを進めており、強いGDPが確認されれば来年の追加利上げ期待に繋がるのではないかと注目しています。
追加利上げの期待が高まればNZドル買いに繋ると考えています。
新型コロナウイルスの変異種「オミクロン株」によるリスクオフは後退しており、NZドルが買われやすい状況となっていることから、強いGDPが確認された場合は大きな買いに繋がるのではないかと注目しています。
製造業・サービス業・総合PMI
フランス・ドイツ・ユーロ圏・英国・米国などから製造業・サービス業・総合PMIの速報値が発表されます。
今回は速報値なので予想と結果が乖離する可能性があるので注目です。
米国などは強い経済状況が予想され、欧州では景気の悪化が警戒されています。
特に欧州などで景況感が弱いものが発表された場合はユーロ売りが加速する可能性があるので注目です。
3)リスク要因
欧州リスク
欧州はロシア・ベラルーシリスクとポーランドリスクとトルコリスクがあります。
ロシアのウクライナ進攻について米国や欧州は批判しています。
バイデン大統領は先週プーチン大統領と会談しましたが、ウクライナ問題は解決せずバイデン大統領は欧州に対してノルドストリーム2の停止を要求しています。
欧州はロシアからの天然ガス供給用のパイプライン、ノルドストリーム2の認可作業を一時停止しています。
欧州では天然ガス不足問題があることから、ロシアに対する制裁を優先するのか、それとも天然ガス・経済を優勢するのか注目です。
また、ベラルーシとも欧州は対立しており、ロシアからのパイプライン遮断を人質にされています。
ロシアやベラルーシと欧州の対立にも注意しておきたいと思います。
ポーランドとEUは司法権を巡り対立が続いています。
EUはポーランドに対して罰金の支払いを命じていますが、ポーランドは罰金の支払いを拒否しています。
このことから、EUはポーランドに対して支払うEU加盟国の分配金などの支払いを停止しています。
現状、ポーランドはEUに加盟していても分配金などを貰うことが出来ない状況なので、EUに加盟している旨味が少なく不満が溜まっている状況です。
このことからポーランド国内ではEUからの離脱の声が高まっており、ハンガリーも同調してきている状況です。
ポーランドでEUからの離脱が本格的に進み始めないか、ポーランドと欧州の対立に関するヘッドラインに注目です。
トルコは今週の金融政策発表で利下げをするのではないかと注目が集まっています。
利下げをすればさらにリラ安が進み、トルコリラがクラッシュするのではないかと注目が集まっています。
リラ安が進んでいますがトルコは先週、3回の為替介入を行っています。
ただ、トルコリラの水準は最安値更新を続けています。
今週も為替介入を続ける可能性がありますが、トルコの外貨準備高(為替介入の原資)は少なく、為替介入には限界があります。
限界を迎えたときにリラ安が進み、暴落するのか?それとも政策金利の利上げに踏み切るのか注目です。
トルコリラが暴落して、トルコのデフォルトに繋がるのかにも注目です。
トルコリラ安が進めば、トルコ国債の償還・利払い額が増え、デフォルト懸念に繋がります。
トルコがデフォルトした場合、トルコ国債を多く抱えている欧州の銀行に飛び火し、今度は欧州リスクに繋がってしまうので要注意です。
英欧リスク
英国と欧州の間では、現在も離脱協議が続いています。
欧州は離脱協議の一旦のゴールとしてクリスマスを考えていて、それまでに離脱協議が合意に至らなかった場合は合意なき離脱(離脱協定の破棄)の可能性が出てきます。
合意なき離脱(離脱協定の破棄)はユーロにとってもポンドにとっても売り要因となり、世界的なリスク要因に繋がる可能性があります。
特に以下の2点には注目です。
北アイルランド議定書の改定
2020年末で英国はEUから離脱しましたが、その際に離脱に関する協議の一つに北アイルランド議定書があります。
北アイルランド(英国領)とアイルランド(EU加盟国)の間には物理的な国境を設けず、関税や物の移動などについて取り決めたものです。
現在の取り決め内容に英国も欧州も納得しておらず、内容の改定について協議が続いています。
英仏漁業権問題
英国がEUに加盟している時は、欧州の国も英国領海で漁業をしていました。
ただ、英国がEUから離脱することで、英国は欧州各国による英国領海での漁業を禁止しました。
欧州各国は離脱協議で英国領海での漁業権を主張し、対立を続けています。
(離脱協定の中で英国も譲歩して、一定数の漁業に関して認めています)
なかでもフランスは英国領海での漁業権を主張しており、英国がこのまま拒否を続けるなら制裁措置を発動すると言っています。
中国リスク
中国は人権問題で米国や欧州、豪州などから批判されており、北京冬季五輪を外交的ボイコットする国が増えています。
その事に対して中国は反発しており、中国の報復行動が気になります。
また中国は北京冬季五輪を開催するため、新型コロナウイルスの抑え込みに必死になっています。
そのため強いロックダウンを課しており、景気後退が懸念されます。
さらに中国恒大集団のデフォルトが確実となり、連鎖倒産などによる景気後退も懸念されています。
中国の対立と景気後退には今週も注目が集まると見ています。
◎今週のイベントスケジュール
12月13日(月曜日)
08:50 JPY 日銀短観
12月14日(火曜日)
16:00 GBP 英雇用統計・失業率・平均賃金
22:30 USD PPI(生産者物価指数)
12月15日(水曜日)
08:30 AUD Westpac消費者信頼感指数
16:00 GBP 英CPI(消費者物価指数)
16:45 EUR フランスHICP(消費者物価指数)(改定値)
22:30 USD 米小売売上高
22:30 CAD カナダCPI(消費者物価指数)
12月16日(木曜日)
00:30 USD 原油在庫量
02:00 CAD マックレムBOC総裁発言
04:00 USD FOMC政策金利・声明文・ドットチャート発表
04:30 USD パウエルFRB議長記者会見
06:45 NZD NZ四半期GDP
08:30 AUD ロウRBA総裁発言
08:50 JPY 日本貿易収支
09:30 AUD 豪雇用統計・失業率
17:15 EUR フランス製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
17:30 EUR ドイツ製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
17:30 CHF スイス国立銀行(SNB)金融政策発表
18:00 EUR ユーロ圏製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
18:30 GBP 英製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
20:00 TRY トルコ金融政策発表
21:00 GBP 英中銀(BOE)金融政策・声明文・MPC投票配分発表
21:45 EUR ECB理事会・金融政策・声明文・スタッフ予想発表
22:30 EUR ラガルドECB総裁記者会見
22:30 USD フィラデルフィア連銀製造業景況指数・失業保険申請件数
23:45 USD 米製造業・サービス業・総合PMI(速報値)
12月17日(金曜日)
04:00 MXN メキシコ金融政策発表
12時前後 JPY 日銀金融政策決定会合
15:30 JPY 黒田日銀総裁記者会見
16:00 GBP 英小売売上高
18:00 EUR ドイツIFO景況感指数
19:00 EUR ユーロ圏HICP(消費者物価指数)(改定値)
12月18日(土曜日)
03:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント
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