2021年12月17日
日銀よりもリスク要因!? 「12月17日の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
昨日発表された政策は以下の通りです。
トルコ:市場予想通り15%から14%に1%利下げ→トルコリラ下落
英中銀(BOE):大方の据え置き予想に対し0.15%利上げを発表→サプライズ利上げに対しポンド上昇
ECB理事会:PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)は3月で終了、追加緩和として従来のAPP(資産購入プログラム)を増額したものの市場予想よりもタカ派→ユーロ買いで反応
本日は日銀金融政策決定会合が残っていますが、現状維持発表で無風通過ではないかと考えています。
それよりも、ビックイベントが通過したことで、各マーケットが政策を消化していく動きが出てくる。
また週末を迎えることでリスクイベントが注目される展開が予想されます。
目次
◎本日の注目点
1)リスク要因
欧州リスク
欧州はロシア・ベラルーシリスクとポーランドリスクとトルコリスクがあります。
ロシアのウクライナ進攻について米国や欧州は批判しています。
バイデン大統領は先週プーチン大統領と会談しましたが、ウクライナ問題は解決せずバイデン大統領は欧州に対してノルドストリーム2の停止を要求しています。
欧州はロシアからの天然ガス供給用のパイプライン、ノルドストリーム2の認可作業を一時停止しています。
欧州では天然ガス不足問題があることから、ロシアに対する制裁を優先するのか、それとも天然ガス・経済を優勢するのか注目です。
また、ベラルーシとも欧州は対立しており、ロシアからのパイプライン遮断を人質にされています。
ロシアやベラルーシと欧州の対立にも注意しておきたいと思います。
ポーランドとEUは司法権を巡り対立が続いています。
EUはポーランドに対して罰金の支払いを命じていますが、ポーランドは罰金の支払いを拒否しています。
このことから、EUはポーランドに対して支払うEU加盟国の分配金などの支払いを停止しています。
現状、ポーランドはEUに加盟していても分配金などを貰うことが出来ない状況なので、EUに加盟している旨味が少なく不満が溜まっている状況です。
このことからポーランド国内ではEUからの離脱の声が高まっており、ハンガリーも同調してきている状況です。
ポーランドでEUからの離脱が本格的に進み始めないか、ポーランドと欧州の対立に関するヘッドラインに注目です。
トルコは昨日利下げを発表し、トルコリラの売りが進んでいます。
リラ安が進んでいますがトルコは4回の為替介入を行っていますが、トルコリラの水準は最安値更新を続けています。
まだ、為替介入を続ける可能性がありますが、トルコの外貨準備高(為替介入の原資)は少なく、為替介入には限界があります。
限界を迎えたときにリラ安が進み、暴落するのか?それとも政策金利の利上げに踏み切るのか注目です。
トルコリラが暴落して、トルコのデフォルトに繋がるのかにも注目です。
また、信用力を計る一つの指針であるトルコ10年国債利回りはグングン上昇しています。
トルコリラ安が進み、金利が上昇し続けると、トルコ国債の償還・利払い額が増え、デフォルト懸念に繋がります。
トルコがデフォルトした場合、トルコ国債を多く抱えている欧州の銀行に飛び火し、今度は欧州リスクに繋がる可能性があるので要注意です。
英欧リスク
英国と欧州の間では、現在も離脱協議が続いています。
欧州は離脱協議の一旦のゴールとしてクリスマスを考えていて、それまでに離脱協議が合意に至らなかった場合は合意なき離脱(離脱協定の破棄)の可能性が出てきます。
合意なき離脱(離脱協定の破棄)はユーロにとってもポンドにとっても売り要因となり、世界的なリスク要因に繋がる可能性があります。
特に以下の2点には注目です。
北アイルランド議定書の改定
2020年末で英国はEUから離脱しましたが、その際に離脱に関する協議の一つに北アイルランド議定書があります。
北アイルランド(英国領)とアイルランド(EU加盟国)の間には物理的な国境を設けず、関税や物の移動などについて取り決めたものです。
現在の取り決め内容に英国も欧州も納得しておらず、内容の改定について協議が続いています。
英仏漁業権問題
英国がEUに加盟している時は、欧州の国も英国領海で漁業をしていました。
ただ、英国がEUから離脱することで、英国は欧州各国による英国領海での漁業を禁止しました。
欧州各国は離脱協議で英国領海での漁業権を主張し、対立を続けています。
(離脱協定の中で英国も譲歩して、一定数の漁業に関して認めています)
なかでもフランスは英国領海での漁業権を主張しており、英国がこのまま拒否を続けるなら制裁措置を発動すると言っています。
中国リスク
中国は人権問題で米国や欧州、豪州などから批判されており、北京冬季五輪を外交的ボイコットする国が増えています。
その事に対して中国は反発しており、中国の報復行動が気になります。
また中国は北京冬季五輪を開催するため、新型コロナウイルスの抑え込みに必死になっています。
そのため強いロックダウンを課しており、景気後退が懸念されます。
さらに中国恒大集団のデフォルトが確実となり、連鎖倒産などによる景気後退も懸念されています。
中国の対立と景気後退に注目が集まると見ています。
2)日銀金融政策決定会合
注目度:低い
織り込み度:現状維持を織り込み済み
バイアス:特になし
ポイント:黒田日銀総裁の記者会見
日銀は現状維持が発表されると予想され、ほとんど注目されていません。
なので、今回も動かないと思われます。
注意しておきたいと思うのは黒田日銀総裁の記者会見で、進む円安についてどのような発言が出てくるのかです。
円安を止めるような発言が出てくると円高に振れる可能性があるので、一応注意しておきたいと思います。
◎本日のイベントスケジュール
12月17日(金曜日)
04:00 MXN メキシコ金融政策発表
12時前後 JPY 日銀金融政策決定会合
15:30 JPY 黒田日銀総裁記者会見
16:00 GBP 英小売売上高
18:00 EUR レーン・フィンランド中銀総裁発言
18:00 EUR ドイツIFO景況感指数
19:00 EUR ユーロ圏HICP(消費者物価指数)(改定値)
12月18日(土曜日)
03:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント
03:00 USD ウォーラーFRB理事発言
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