2023年1月16日
注目の日銀、円買いか?円売りか? 「1月16日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週は読売新聞が「日銀が来週の会合で大規模緩和の副作用を点検する」との観測記事を報じたことで、日銀が政策修正へ動くのではないかとの思惑が強まり円買いが大きく進みました。
米CPI(消費者物価指数)は予想通りでしたが、ニューヨーク連銀やミシガン大学が発表する期待インフレ率が予想を下回ったことで引き締め観測の後退からドル売りが進みました。
今週は昨年末から注目を集めている日銀金融政策決定会合が予定されています。
日銀に関するヘッドラインで大きく動く1週間になるのではないかと思っています。
目次
◎今週の注目点
1)金融政策
日銀金融政策決定会合
注目度:かなり高い
織り込み度:現状維持を織り込み済み
バイアス:円買いトレンド
ポイント:出口戦略(金融正常化)と日銀展望レポート
12月の日銀金融政策決定会合でYCC(イールドカーブ・コントロール)の金利誘導幅をサプライズで変更したことで、出口戦略(金融正常化)の第1歩ではないかとの観測が高まっています。
先週は読売新聞が日銀が今週の会合で大規模緩和の副作用を点検すると
今まで頑なに大規模緩和政策を継続し、主要中銀でマイナス金利を唯一採用している日銀が出口戦略(金融正常化)に向かうのか、日銀金融政策決定会合に注目が集まっています。
12月に金利誘導幅を変更した後なので今回は現状維持だと思われますが、声明文や記者会見でどのように答えるのか注目です。
また、今回は日銀展望レポートが同時に発表されます。
展望レポートで物価高が続くようであれば、底堅い経済などが示されれば、これを理由に出口戦略(金融正常化)の観測に繋がるのではないかと思います。
出口戦略(金融正常化)の観測が高まれば、まだまだ円買いが進む可能性があるので注目しておきたいと思います。
ECB理事会議事要旨
12月の理事会でラガルドECB総裁は利上げ継続、タカ派姿勢を示しました。
ECB理事会内でどれほどのタカ派がいるのか、物価優先よりも経済優先の理事がいなかったのか、議事要旨の内容に注目です。
12月の理事会後のECB理事会メンバーの発言はタカ派な内容が多かったので、ハト派な意見もあったという内容が出てきた場合はユーロの上値を抑えるのではないかと思います。
2)経済指標
英雇用統計
12月の英中銀は経済優先で引き締めには消極的なハト派姿勢を示しました。
雇用状況が予想以上に悪化していた場合は、英中銀の引き締めは縮小・後退観測が高まりポンドは大きく売られるのではないかと思います。
逆に雇用状況が予想以上の強さを見せ、平均賃金が上昇していた場合は引き締め期待が進みポンド買いに繋がるのではないかと注目しています。
カナダCPI(消費者物価指数)
カナダ中銀は引き締め終了が見えてきている状況、主要中銀の中で最もハイペースで利上げを進めてきたカナダ中銀はいち早く利上げを終了するのではないかと思われています。
カナダのCPI(消費者物価指数)が予想よりも低下していた場合は、カナダ中銀の利上げ終了観測からカナダドル売りが進むのではないかと思っています。
CPI(消費者物価指数)の結果が予想よりも低下しているのか注目です。
英CPI(消費者物価指数)
英雇用統計で平均賃金が予想を上回っていた場合、物価も上昇している可能性があります。
英国はEUから離脱したことで出稼ぎの労働力が無くなり、人手不足になっています。
欧米に比べ、スタグフレーションの可能性が高く、景気後退局面でも物価上昇が続く可能性があります。
どこまで物価が上昇しているのか、高止まりしているのか、英CPI(消費者物価指数)に結果に注目です。
豪雇用統計
RBAは引き締めに慎重な姿勢をとっており、雇用状況が悪化している場合は引き締めを終了するのではないかと思っています。
特に注目しているのは労働参加率です。
コロナ後から早期退職など、求人数が減少したことで失業率が低下している状況です。
労働参加率が上昇したうえで失業率が改善しているのかに注目です。
また、中国がゼロコロナを止めて経済活動を再開したことで、豪経済がどこまで底堅くなっているかにも注目です。
英小売売上高
英国は物価高に加えて緊縮財政で経済に大きくブレーキをかけています。
どこまで経済が停滞しているのか、小売状況に注目です。
カナダ小売売上高
カナダ中銀はハイペースで利上げを進めてきました。
引き締めでカナダ経済がどこまでストップがかかっているのか、小売状況に注目です。
予想よりも小売売上高が弱かった場合は利上げの終了が近付くのではないかと注目しています。
3)要人発言
FRB
先週のCPI(消費者物価指数)の結果やミシガン大学の期待インフレ率が予想よりも低下していたことを受けて、FOMCメンバーのスタンスに変化が出てきているのか注目しています。
先週まではタカ派な内容が多く聞こえていましたが、ハト派な内容に変化するようであればドル売りが進むのではないかと思っています。
また、来週からはFOMC前のブラックアウト期間に入るので、次回FOMCの織り込みを確認するためにも今週の発言には注目です。
ECB
12月のECB理事会でラガルドECB総裁は景気後退よりも物価抑制を優先させると、タカ派姿勢を示しています。
欧州の物価高は米国以上で、利上げ開始も米国よりも遅かったことから、もう一時利上げを継続するのではないかと思っています。
ECBメンバーがそろってタカ派なのか、それとも物価より景気悪化を重要視するメンバーがいるのか、発言内容に注目です。
英中銀
英政府は緊縮財政で景気にブレーキをかけている状況です。
そのため12月の金融政策決定会合ではハト派姿勢を示しています。
9名のMPCメンバーの中には据え置きを支持したメンバーもいました。
2月の会合で利上げをするのか、据え置きなのか、どのくらいハト派がいるのか、英中銀MPCメンバーの政策スタンスに注目です。
今週は雇用統計やCPI(消費者物価指数)の結果を受けて、どのような発言が出てくるのかにも注目です。
日銀
今週最も注目されているのが日銀の動向です。
12月の日銀金融政策決定会合でサプライズのYCC(イールドカーブ・コントロール)の金利誘導幅変更でイッキに円高が進みました。
出口戦略の第1歩ではないかとマーケットは注目していますが、黒田日銀総裁は記者会見で出口戦略は否定しています。
日銀金融政策決定会合を挟んでどのような発言が出てくるのか、出口戦略(金融正常化)の観測に繋がるようなら円高が一気に進む可能性があるので注目です。
また、次期日銀総裁の行方と、候補者の政策スタンスにも注目です。
◎今週のイベントスケジュール
1月16日(月曜日)
米国休場(キング牧師誕生日)
ダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)
ユーロ圏財務相会合
1月17日(火曜日)
ダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)
00:00 GBP ベイリーBOE総裁発言
08:30 AUD 豪Westpac消費者信頼感指数
11:00 CNY 中国GDP・小売売上高
16:00 GBP 英雇用統計・失業率・平均賃金
16:00 EUR ドイツHICP(消費者物価指数)(改定値)
16:30 EUR センテノ・ポルトガル中銀総裁発言
19:00 EUR ドイツZEW景況感指数
19:00 EUR ユーロ圏ZEW景況感指数
22:30 CAD カナダCPI(消費者物価指数)
22:30 USD ニューヨーク連銀製造業景況指数
1月18日(水曜日)
ダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)
05:00 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
12時前後 JPY 日銀金融政策決定会合
15:30 JPY 黒田日銀総裁記者会見
16:00 GBP 英CPI(消費者物価指数)
19:00 EUR ユーロ圏HICP(消費者物価指数)(改定値)
22:30 USD 米PPI(生産者物価指数)
23:00 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁
1月19日(木曜日)
ダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)
04:00 USD ベージュブック(米地区連銀経済報告)
04:00 USD ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁発言
08:00 USD ローガン・ダラス連銀総裁発言
09:30 AUD 豪雇用統計・失業率・労働参加率
19:30 EUR ラガルドECB総裁発言
20:00 TRY トルコ政策金利発表
21:30 EUR ECB理事会議事要旨
22:30 USD 米建築許可件数・フィラデルフィア連銀製造業景況指数・失業保険申請件数
23:00 USD コリンズ・ボストン連銀総裁発言
23:00 EUR クノット・オランダ中銀総裁発言
1月20日(金曜日)
ダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)
01:00 USD 原油在庫量
02:00 EUR シュナーベルECB専務理事発言
08:35 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
16:00 GBP 英小売売上高
19:00 EUR ラガルドECB総裁発言
22:30 CAD カナダ小売売上高
23:00 USD ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁発言
1月21日(土曜日)
00:00 USD 米中古住宅販売戸数
00:30 EUR エルダーソンECB専務理事発言
03:00 USD ウォラーFRB理事発言
03:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント