金融不安に関するリスクムードと経済指標に注目の1週間! 「3月27日週の注目点とイベントスケジュール」

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2023年3月26日

金融不安に関するリスクムードと経済指標に注目の1週間! 「3月27日週の注目点とイベントスケジュール」

記事を書いた人:岡ちゃんマン

 

先週は注目のFOMC、英中銀やスイス国立銀行の政策発表に加えて、金融不安によるリスクムードに左右される展開となりました。

FOMCは直前まで据え置きや0.25%利上げなど予想が見えてこない状況でした。

ただ、直前に0.25%利上げ予想が8割を超えて、FRBは市場予想通り0.25%利上げを実施しました。

同時に発表されたドットチャートから予想されるターミナルレート(利上げの最終水準)は5.1%と、12月に発表されたドットチャートから予想されるターミナルレート(利上げの最終水準)から据え置きとなりました。

記者会見でパウエルFRB議長は年内の利下げを否定したことから、5月のFOMCで0.25%利上げを実施するとターミナルレート(利上げの最終水準)に達することから利上げ終了が見えています。

 

金融不安に関しては主要6中銀(FRB・ECB・日銀・英中銀・カナダ中銀・スイス国立銀行)は協調オペを実施すると発表し、金融不安を払拭し落ち着きを取り戻すよう動いています。

ただ、イエレン財務長官が議会ですべての預金保護について否定的な発言をしたことで、金融不安が広がりリスクオフが進みました。

その後、マーケットのリスクオフが進んだことからかイエレン財務長官は前日の発言から一転し、預金保護について追加措置を講じる用意があるなどと発言したことでリスクオフは後退しています。

 

今週も金融不安に関するリスクムードを中心に、経済指標などで動く展開を予想しています。

目次

◎今週の注目点

 

1)リスク要因

 

今週もリスクムードがマーケットを左右する展開が予想されます。

米地銀SVBの破綻に始まり、米国では中小地銀を中心に取り付け騒ぎが広がりリスクオフが進み、影響を英欧まで広がりました。

スイスではもともと問題を抱えていたクレディスイスに飛び火、クレディスイスはUSBに買収されることになりました。

USBに買収されたことで一旦は落ち着きを取り戻すかと思いましたが、クレディスイスが発行していたAT1債(劣後債)が無価値になったことで、世界的に劣後債などの債権不安が広がり金融不安に繋がりリスクオフが進んでいます。

米当局は全預金保護を発表し、主要6中銀(FRB・ECB・日銀・英中銀・カナダ中銀・スイス国立銀行)は金融安定のため強調オペすることを発表するなどして金融不安の払しょくに動いたことで、少し落ち着きを取り戻しリスクオフは後退するかに思えました。

ただ、先週イエレン財務長官は議会で、預金保護の対象を大幅に拡大するつもりはないと発言したことでイッキに金融不安が再燃し、リスクオフが進みました。

翌日には前日の発言を否定し、預金保護のために追加措置を講じる用意があると発言し、週末にはイエレン財務長官は金融安定監視評議会を招集し、銀行部門の現状について議論するなど金融不安が落ち着くように動いています。

今週も銀行・金融不安に関する発言やヘッドラインでマーケットが大きく動くのではないかと注目しています。

 

 

 

2)経済指標

 

豪CPI(消費者物価指数)

豪州では3月分のRBA理事会議事要旨で「次回会合で利上げ休止について再検討する」などの見解が示され、RBAの利下げ停止や一部では7月にも利下げに動くのではないかとの見方も出てきています。

今回のCPI(消費者物価指数)が予想以上に低下していた場合は、7月利下げの可能性が高まり、豪ドル売りが加速するのではないかと注目しています。

 

 

 

米中古住宅販売保留

米国ではFRBによるハイペースの利上げでローン金利が上昇し、住宅市場の低迷が注目されています。

住宅市場が低迷すると引越しが少なくなり、引っ越しのタイミングで売れるはずの家具や家電の販売が低迷、景気後退やインフレ低下に繋がります。

このことから、住宅関連の経済指標に注目が集まっています。

 

 

 

スペイン・ドイツHICP(消費者物価指数)

FRBの利上げ停止が意識されるなか、利上げ継続を示唆しているECB。

今後、ECBが利上げを継続するのか、利上げ幅・ペースをどのようにするのかはインフレ次第です。

スペインやドイツの物価がどこまで低下しているのか、市場予想に対して上回るのか、下回るのか注目です。

 

 

 

米GDP(確報値)・新規失業保険申請件数

米国ではFRBによるハイペースの利上げで景気後退が懸念されています。

SVB破綻の影響による金融不安も景気後退に繋がるのではないかと懸念されています。

今回のGDP確報値は10~12月期の分なので、金融不安による影響は反映されていません。

金融不安の影響がないGDPがどこまで悪化しているのか、それとも強い結果が出てきて堅調な経済が確認できるのか注目です。

また、米国のインフレ要因として逼迫した労働市場があります。

失業保険申請件数から労働市場の状況を確認し、緩みが確認できるようであればインフレ低下に繋がるのではないかと注目しています。

 

 

 

中国製造業・非製造業PMI

世界的にインフレが懸念され、ハイペースの利上げで景気後退が懸念されている中で、中国の景気がどこまで堅調なのか注目されています。

中国のPMIが市場予想を下回る結果となると、世界的にも景気後退加速に繋がるのではないかと思います。

金融不安による影響のリスクオフが注目されているだけに、中国経済の後退はリスクオフの加速に繋がるのではないかと注目しています。

 

 

 

フランス・ユーロ圏HICP(消費者物価指数)

FRBの利上げ停止が意識されるなか、利上げ継続を示唆しているECB。

今後、ECBが利上げを継続するのか、利上げ幅・ペースをどのようにするのかはインフレ次第です。

スペインやドイツのHICP(消費者物価指数)に続き、フランスやユーロ圏の物価がどこまで低下しているのか、市場予想に対して上回るのか、下回るのか注目です。

 

 

 

PCEデフレーター

FRBはあと1回の利上げで利上げ終了が織り込まれている状況で、FRBが最も重要視している物価指標のPCEデフレーターに注目が集まっています。

PCEデフレーターが市場予想を下回り、物価抑制が確認出来てくるとあと1回の利上げもなくなるのではないか、年内利下げの可能性が出てくるのではないか、ドル売りが進むのではないかと注目しています。

逆に予想以上のPCEデフレーターが出てくると、年内利下げの可能性が後退し、追加利上げの可能性が出てくるとドル買いが出てくるのではないかと思います。

 

 

 

3)要人発言

 

FRB

3月のFOMCで発表されたドットチャートから予想されるターミナルレート(利上げの最終水準)は5.1%に据え置かれています。

記者会見でパウエルFRB議長は年内の利下げを否定しており、年内利下げがないのであれば5月に0.25%利上げを実施するとターミナルレート(利上げの最終水準)に達します。

ただ、マーケットは5月FOMCで据え置き、年内利下げを織り込み始めています。

FRBとマーケットの間の見通しで乖離が出てきており、この乖離についてFOMCメンバーがどのような発言をするのか注目です。

追加利上げや年内の利下げ否定をマーケットに織り込ませるような発言が出てくるようであれば、ドルは底堅く推移するのではないかと思います。

 

 

 

ECB

米国やカナダ、豪州では利上げの終了が見えています。

欧州では米国よりも高いインフレが確認されており、利上げも出遅れたことからECBによる追加利上げが期待されています。

今週はHICP(消費者物価指数)の速報値が発表されることから、物価高が確認された場合に追加利上げの可能性について発言があるのか、物価高の鈍化が確認された場合に利上げ終了について発言があるのか注目です。

追加利上げに積極的な発言が出てくるようであればユーロ買いが進むのではないかと注目しています。

 

 

 

BOE

英中銀は市場予想通り0.25%利上げを実施しています。

声明でインフレ持続の兆しがあればさらなる利上げが必要と示されたものの、CPI(消費者物価指数)は4~6月期は大幅に低下し、2月発表のインフレーションレポートで予想した数字よりも低い水準になるとインフレの低下を示唆しました。

ただ、英中銀の金融政策発表直前に発表されたCPI(消費者物価指数)は市場予想を上回り、前回値よりも高い数字となっておりインフレの加速が確認されています。

その上で2月発表のインフレーションレポートで予想した数字よりも低いインフレとなると予想しているのか、追加利上げに積極的にならなくてもよいのか、MPCメンバーの発言に注目です。

 

 

 

 

◎今週のイベントスケジュール

 

 

3月27日(月曜日)

 

16:00 EUR シムカス・リトアニア中銀総裁発言

17:00 EUR ドイツIFO景況指数

17:30 EUR ナーゲル・ドイツ連銀総裁発言

22:40 EUR エルダーソンECB専務理事発言

23:00 EUR センテノ・ポルトガル中銀総裁発言

 

 

3月28日(火曜日)

 

00:00 EUR シュナーベルECB専務理事発言

02:00 GBP ベイリーBOE総裁発言

02:00 USD 米2年債入札

06:00 USD ジェファーソンFRB理事発言

09:30 AUD 豪小売売上高

17:45 GBP ベイリーBOE総裁、ウッズBOE副総裁、ラムズデンBOE副総裁発言(議会証言)

23:00 USD 米消費者信頼感指数

23:00 USD バーFRB副議長発言

 

 

3月29日(水曜日)

 

02:00 USD 米5年債入札

09:30 AUD 豪CPI(消費者物価指数)

23:00 USD 米中古住宅販売保留

23:00 USD バーFRB副議長発言

23:30 USD 原油在庫量

 

 

3月30日(木曜日)

 

01:30 CAD グラヴェルBOC副総裁発言

02:00 USD 米7年債入札

03:50 GBP マンBOE外部理事発言

05:40 EUR シュナーベルECB専務理事発言

16:00 EUR スペインHICP(消費者物価指数)(速報値)

21:00 USD バーFRB副議長発言

21:00 EUR ドイツHICP(消費者物価指数)(速報値)

21:30 USD 米GDP(確定値)、失業保険申請件数

 

 

3月31日(金曜日)

 

01:00 CHF メクラーSNB理事発言

01:45 USD バーキン・リッチモンド連銀総裁発言

04:00 MXN メキシコ金融政策決定会合

04:45 USD イエレン財務長官発言

10:30 CNY 中国製造業・非製造業PMI

15:00 GBP 英GDP

15:45 EUR フランスHICP(消費者物価指数)(速報値)

16:55 EUR ドイツ雇用統計・失業率

18:00 EUR ユーロ圏HICP(消費者物価指数)(速報値)

21:30 USD PCEデフレーター

21:30 CAD カナダGDP

23:00 USD ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)・期待インフレ率

 

 

4月1日(土曜日)

 

02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント

04:00 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言

06:45 USD クックFRB理事発言

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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