2019年9月8日
金融緩和はどこまで拡大!? ECB理事会に注目! ~9月9日週の注目点とイベントスケジュール~
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週は、夏休み明けの海外トレーダーが戻ってきて、マーケットに活気が戻ってきたと同時に流れも少し変わってきたみたいです。 香港で逃亡犯条例改正案が撤回されたり、英国議会で合意なき離脱の可能性が低下したり、米中通商協議の日程が10月で見通しが立ったりとリスク後退の流れになったようです。 クロス円は上昇し、VIX指数は低下、米長期金利は久しぶりに1.5%を回復、日経平均は21,000円台に回復、世界的に株高・債券安になっています。
ただ、本当にリスク後退しているのか注意は必要ですが、今週はリスクから金融政策に注目が移りそうです。
目次
◎今週の注目点
1)ECB理事会
今回のECB理事会では政策変更が注目されています。 前回の理事会では、大規模な金融緩和や金利階層化などに触れられていたことで、今回の理事会では利下げやQE(量的緩和)などが期待されています。 ポイントは以下の3点で、どれが変更されるのか!? また、どの組み合わせで変更されるのか!? です。
・政策金利の深堀
利下げをしてマイナス金利を深堀するのか!? 利下げの幅は!? 金利階層化は導入するのか!? この辺りが注目です。 利下げはほぼ織り込まれていると思うので、据え置きということになればユーロ買いになりそう。
・QE(量的緩和)
昨年末で終了したQE(量的緩和)を再開するのか!? また、内容はどうなるのか!? に注目です。 EUでは、量的緩和で買われる国債に規制があります。 なので、前回QE(量的緩和)の時には、QE(量的緩和)用のドイツ国債などが枯渇していました。 今回QE(量的緩和)を導入するならば、この問題をどうするのか!? 規制を変更するのか!? 買入れを国債から社債や株式に変更するのか!? 注目です。 QE(量的緩和)に関しては、何名かのタカ派理事が導入反対しています。 前回の理事会時にQE(量的緩和)に触れたことで、利下げほどではないがQE(量的緩和)も織り込まれていると思います。 QE(量的緩和)が導入されなかった場合はユーロ買いになりそう。
・フォワードガイダンス
金融政策の見通しを下方修正する可能性が高いのではないかと思っています。 現在は「2020年中盤まで、必要ならば長期に渡って金利は現行かさらに低い水準と予想」となっています。 これをどのように変更するのか!? また、上記緩和政策をしたうえでガイダンス変更なのか!? 緩和政策は据え置きでガイダンス変更なのか!? 注目です。
ドラギ総裁の任期は10月31日までです。 その間のECB理事会は9月12日と10月24日の2回しかありません。 本来であれば、ドラギ総裁は任期満了までに金利正常化を目指していたと思うのですが… それが無理となった今、どんな終わりを迎えるのか!? 大幅金融緩和で締めくくるのか!? それは今回なのか!? ドラギ総裁の引き際に注目しています。
2)英国Brexit
先週末、合意なき離脱の阻止するための法案、離脱期限の延期を申請する法案が上下院で可決されました。 これにより、合意なき離脱の可能性は後退しているようですが、あくまでEUに対し離脱期限の延期を申請するための法案が出来ただけで延期が決まったわけではありません。 EU加盟国の1か国でも延期に反対をすれば、離脱期限の延期は認められず10月31日が離脱期限となり、それまでに離脱協議が合意できていなければ合意なき離脱となってしまいます。 なので、これからはEU加盟国から離脱期限の延期についての発言に注目が集まると思われます。 どこか1か国でも反対発言が出てくると、再度合意なき離脱の可能性が高まりポンド売りに傾くかもしれません。
また、ボリス・ジョンソン首相は、もう一度解散総選挙を提案するのではないかと見られています。 ただ、こちらも野党は反対を表明しています。 解散総選挙に必要な2/3議席の票を獲得できそうにはありません。 この状況でボリス・ジョンソン首相がどのような動きに出てくるかも注目です。
3)リスク要因
・米中貿易戦争
9月貿易協議が不透明から、10月協議再開と伝わったことでリスク後退しているようだが、もともと9月協議が延期になっただけで、何も解決していません。 また、中国は対中関税第4弾は不当だとWTOに提訴しています。
この状況で、トランプ大統領が黙っているのか!? 先日のパウエルFRB議長のタカ派発言もあったことから、トランプ砲が出てこないか注目しています。
・香港デモ
香港行政長官が「逃亡犯条例改正案」を撤回しました。 ただ、抗議活動は続いています。 9月11日から始まる「一帯一路 香港サミット2019」に向けて、逃亡犯条例改正案を撤回してデモを抑えたかったと思われます。 あと、数日になった状況で中国政府がどのような動きに出るのか!? また、中国が嫌がる他国からの口出しがどうなるか!? 注目しています。
・日韓関係
日韓関係は改善が見られません。 韓国は反日政策を取り続けています。 また、米国など外国を巻き込んでいこうとしています。 日韓関係が世界のリスクにならないか注目しています。
◎今週のイベントスケジュール
9月9日(月曜日)
08:50 JPY 日GDP
17:00 GBP ブリハBOE外部理事発言
17:30 GBP 英GDP
20:00 MXN メキシコCPI(消費者物価指数)
9月10日(火曜日)
04:00 USD 米消費者信用残高
10:30 AUD NAB企業景況感指数
10:30 CNY 中国CPI(消費者物価指数)
15:00 NOK ノルウェーCPI(消費者物価指数)
16:30 SEK スウェーデンCPI(消費者物価指数)
17:30 GBP 英雇用者数・失業率・平均賃金
21:15 CAD 住宅着工件数
21:30 CAD 建築許可件数
9月11日(水曜日)
02:00 USD 3年債入札
09:30 AUD Westpac消費者信頼感指数
20:00 USD OPEC月次報告
23:30 USD 原油在庫量
9月12日(木曜日)
02:00 USD 10年債入札
15:00 EUR ドイツHICP(消費者物価指数)
15:45 EUR フランスHICP(消費者物価指数)
18:00 EUR ユーロ圏鉱工業生産
20:00 TRY トルコ政策金利発表
20:45 EUR ECB理事会
21:30 EUR ドラギECB総裁記者会見
21:30 USD 米CPI(消費者物価指数)
21:30 CAD 新築住宅価格指数
9月13日(金曜日)
EU非公式財務相理事会(13日・14日)
02:00 USD 30年債入札
03:00 USD 米月次財政収支
16:30 SEK スウェーデンGDP
18:00 EUR ユーロ圏貿易収支
21:30 USD 米小売売上高
23:00 USD ミシガン大学消費者信頼感指数
9月14日(土曜日)
EU非公式財務相理事会(13日・14日)
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント