2022年10月3日
雇用統計はじめ重要指標とオセアニア金融政策発表に注目の1週間! 「10月3日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週はポンドが注目される1週間でした。
トラス英首相が発表した減税策を受けて英国財政悪化が懸念され、英金利が高騰(英国債暴落)し、英株価は下落、ポンドが急落とトリプル安となりました。
英中銀は決まっていたQT(量的引き締め)を10月末まで延期し、10月14日まで英長期債の購入を決定、これにより英金利は低下し、株価は買い戻され、ポンドは上昇しました。
英政権は減税策と物価高対策のバラマキで経済のアクセルを踏み、英中銀は英長期債の購入(緩和策)のアクセルと大幅利上げによるブレーキを同時に踏む、ちぐはぐな状況となっています。
そのため、ポンドは乱高下を繰り返し、ボラティリティの高い相場となっています。
今週は月初めの週で、雇用統計を始め重要指標も多く、オセアニアRBA・RBNZの政策発表もあるので、ポンド以外のボラティリティも高くなるのではないかと思っています。
目次
◎今週の注目点
1)経済指標
スイスCPI(消費者物価指数)
スイス国立銀行(中央銀行)は物価高が落ち着かなければ利上げを継続すると言っています。
今回発表するCPI(消費者物価指数)が高いままであれば、利上げ加速に繋がるのではないかと思います。
利上げ加速に繋がった場合、スイスフランが買われるのかと併せて注目しておきたいと思います。
ISM製造業景況指数・ISM非製造業景況指数
米国FRBは物価抑制するためにハイスピードで利上げを進めています。
利上げによって景気後退が懸念されているだけに、ISM製造業景況指数・ISM非製造業景況指数からどこまで景況感が悪化しているのか注目です。
ISM製造業景況指数・ISM非製造業景況指数が弱かった場合は株価下落からリスクオフが進む可能性もあるので注目しておきたいと思います。
ADP雇用統計
ADP雇用統計は週末のNFP雇用統計の前哨戦と言われていましたが、NFP雇用統計と結果が違うことが多く参考にされなくなっていました。
前回のADP雇用統計から集計方法をリニューアル、スタンフォード大と提携し、AIを駆使した新たなデータ分析を使用した雇用統計となっています。
どのくらいの数字が出てくるのか、週末のNFP雇用統計と差が出てくるのか注目です。
NFP雇用統計
米国では人手不足から人件費が高騰し、物価高の要因の一つとなっています。
物価高抑制のために一時的に失業率が上がり、人件費の低下が必要とFRBが言っています。
失業率と平均時給がどこまで悪化しているのかに注目しておきたいと思います。
カナダ雇用統計
カナダの8月CPI(消費者物価指数)は予想を下回る結果で、物価のピークアウトが期待され利上げペースの後退が注目されています。
今回の雇用統計が予想を下回る結果となれば、カナダ中銀は利上げペースを鈍化させる可能性が高くなりカナダドルが売られるのではないかと注目しています。
2)金融政策
RBA理事会
注目度:やや高い
織り込み度:0.5%利上げを織り込み済み
バイアス:豪ドルやや売り圧力が強い
ポイント:今後の利上げペース(声明文のタカ派姿勢)
RBAは今回も0.5%利上げを進めると予想されています。
注目は声明文がタカ派に変わっているのか、ハト派に変わっているのかです。
そろそろハト派に変わってくるのではないかと注目しており、前回と比べてハト派になっていた場合は豪ドル売りが加速するのではないかと注目しています。
RBNZ理事会
注目度:やや高い
織り込み度:0.5%利上げを織り込み済み
バイアス:NZドル売り圧力が強い
ポイント:利上げの終了時期とNZ経済
RBNZはハイペースで利上げを続けてきました。
利上げによる景気後退も懸念されており、今後のNZ経済をどのように見通しているのか声明文の内容に注目です。
NZ経済の後退が見通され、利上げの終わりが見えてくるような内容であればNZドル売りが加速するのではないかと注目しています。
ECB理事会議事要旨
欧州は物価高に対応すべく大幅利上げを進めています。
ECBのマイナス金利を解除し、プラス金利にしています。
今後の利上げペースや、利上げに対してどのような議論がされたのか、次回のECB理事会のヒントがないか議事要旨の内容に注目です。
欧州はネガティブな材料が多いので、議事要旨の内容でネガティブな内容があるとユーロ売りが進む可能性に注目しています。
3)リスク要因
ロシア・ウクライナ情勢
ロシアはウクライナ東部4州をロシアとして併合してしまいました。
東部4州の併合を欧米諸国は当然批判し、トルコなども併合を批判しています。
欧米などは併合をキッカケに、さらにロシアへの制裁を強化すると思われます。
今後ロシアがどのような行動に出てくるのか、ロシアは東部4州への攻撃はロシアへの攻撃とみなすと言っているので、東部4州へ攻撃した場合ロシアがどのような反撃をしてくるのか注目です。
ロシアの動き次第では再度リスクオフが大きく進む可能性があるので注意しておきたいと思います。
欧州リスク
欧州にはエネルギー問題・食糧問題・イタリア問題・英国との関係など多くの問題を抱えています。
なかでもロシアからの天然ガス供給パイプライン「ノルドストリーム」の停止は欧州のエネルギー価格高騰に繋がっています。
パイプラインに損傷があり天然ガスが漏れているとの報道で、原因はロシアによるものではないかと言われています。
また、ガス供給のガスプロムはイタリア向けの供給を停止するとの報道も出ており、欧州のエネルギー事情はさらに苦しくなってきています。
イタリアでは総選挙
英国新政権
トラス英首相が発表した減税策が原因で英金利が高騰、ポンド売りが進みました。
英中銀は金利高騰を抑える為に長期債の買い入れを実施(日銀のYCCに似た措置)、10月14日までの期間限定措置を取りました。
この措置のおかげで金利は低下し、ポンドは買い戻されています。
ただ、措置は一時的なので効果がいつまで続くのか、ポンドの行方と金利の状況に注意しておきたいと思います。
ポンドは先週かなりボラティリティが高くなっており、急騰急落を繰り返しています。
ヘッドラインがなくても急騰急落を繰り返しているので、値動きには注意しておきたいと思います。
◎今週のイベントスケジュール
10月3日(月曜日)
08:50 JPY 日銀短観
15:30 CHF スイスCPI(消費者物価指数)
16:50 EUR フランス製造業PMI(改定値)
16:55 EUR ドイツ製造業PMI(改定値)
17:00 EUR ユーロ圏製造業PMI(改定値)
17:30 GBP 英製造業PMI(改定値)
22:05 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁
22:45 USD 米製造業PMI(改定値)
23:00 USD ISM製造業景況指数
10月4日(火曜日)
03:00 GBP マンBOE外部理事
04:10 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
12:30 AUD RBA理事会・政策金利・声明文発表
21:30 EUR センテノ・ポルトガル中銀総裁発言
22:00 USD ローガン・ダラス連銀総裁発言
22:00 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
22:15 USD メスター・クリーブランド連銀総裁発言
10月5日(水曜日)
00:00 EUR ラガルドECB総裁発言
02:00 USD デイリー・サンフランシスコ連銀総裁発言
10:00 NZD RBNZ理事会・政策金利・声明文発表
16:50 EUR フランス総合・サービス業PMI(改定値)
16:55 EUR ドイツ総合・サービス業PMI(改定値)
17:00 EUR ユーロ圏総合・サービス業PMI(改定値)
17:30 GBP 英総合・サービス業PMI(改定値)
21:15 USD ADP雇用統計
21:30 USD 米貿易収支
21:30 CAD カナダ貿易収支
22:45 USD 米総合・サービス業PMI(改定値)
23:00 USD ISM非製造業景況指数
23:30 USD 原油在庫量
10月6日(木曜日)
05:00 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁
09:30 AUD 豪貿易収支
17:30 GBP 英建設業PMI
20:30 EUR ECB理事会議事要旨(9月8日分)
21:30 USD 失業保険申請件数
23:00 CAD カナダIveyPMI
10月7日(金曜日)
00:35 CAD マックレムBOC総裁発言
02:00 USD エバンズ・シカゴ連銀総裁発言
06:00 USD ウォラーFRB理事発言
07:30 USD メスター・クリーブランド連銀総裁発言
09:30 AUD RBA半期金融報告
21:30 USD NFP雇用統計・失業率・平均時給
21:30 CAD カナダ雇用統計・失業率
23:00 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
10月8日(土曜日)
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント