2023年9月4日
9月後半のECBやFOMCを控えて要人発言に注目の1週間! 「9月4日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週は米国の雇用指標であるJOLTS求人件数に始まり、ADP雇用統計、失業保険申請件数と市場予想を下回り労働市場の緩みが確認され、週末に発表されたNFP雇用統計でも雇用者数こそ市場予想を上回りましたが注目されていた平均時給や失業率は悪化し、雇用市場の緩みが確認されました。
このことでFRBの追加利上げ期待は後退し、年内は追加利上げよりも据え置き予想が優勢となっています。
その後発表されたISM製造業景況指数は市場予想を大きく上回る結果となっており、雇用市場が緩んだことでインフレは低下するとの予想の中、景況感はしっかりしていると受け止められ、米国経済のソフトランディングの可能性が高く意識されているのではないかと思います。
今週はカナダと豪州で金融政策が発表されます。
カナダは米国に先行して金融政策を行ってきているのでカナダ中銀がどのような行動に出るのか注目しています。
また中国の景気後退が注目されている中、経済のつながりの深い豪州が景気をどのように見通しているのかRBA理事会に注目しています。
その他、ECBやFRBは来週以降ブラックアウト期間に突入することから、金融政策に関するヒント探しのため要人発言には注目したいと思います。
目次
◎今週の注目点
1)金融政策
RBA理事会
注目度:やや高い
織り込み度:8割以上据え置き、一部0.25%利上げ
バイアス:豪ドル安
ポイント:利上げ終了観測
7月の豪
一部では追加利上げを予想しているようですが、多くは据え置きを予想しており、RBAの利上げは終了するのではないかとの予想が出てきています。
経済的につながりの大きい中国が景気不安が、豪州の景気不安につながり、景気後退懸念から利上げ終了になるのではないかと注目が集まっています。
景気見通しや追加利上げ、利下げ観測など声明文の内容に注目です。
カナダ中銀
注目度:高い
織り込み度:据え置きが優勢、一部で追加利上げ予想
バイアス:カナダドルが底堅い
ポイント:景気・インフレ見通し
カナダは一時利上げを停止していましたが、6月・7月と利上げを再開しました。
追加利上げの効果もあり、CPI(消費者物価指数)は低下傾向にあり6月CPI(消費者物価指数)は2年3月ぶりの
ただ、7月CPI(消費者物価指数)は6月CPI(消費者物価指数)よりも予想外に伸びが加速し、インフレの長期化が懸念される結果となりました。
その他、小売りや雇用データは弱い結果となっており、景気後退も懸念される展開となっています。
今回の会合では据え置きが予想されていますが、インフレの長期化が懸念されるだけに追加利上げの可能性も残っています。
声明文から、追加利上げの可能性や景気見通しなど、今後の展開のヒントを探したいと思います。
2)経済指標
豪四半期GDP
豪州は中国と経済のつながりが大きく、中国経済の影響を大きく受けやすくなっています。
中国では景気不安が高まり、不動産大手のデフォルトリスクが高まっています。
また、豪州も利上げを進めてきたことで景気後退懸念が高まっています。
豪州の景気後退がどこまで懸念されるのか、GDPの結果に注目したいと思います。
市場予想を下回る結果となれば、RBAの追加利上げ期待は後退し、利上げ終了が見えてくるのではないかと思います。
ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景況指数はサービス業の企業に対して今後の景況感を質問し、結果を指数化したもので景気の先行指標として注目されています。
先週のISM製造業景況指数が市場予想を大幅に上回ったことで、ISM非製造業景況指数にも注目が集まっています。
先週は雇用指標が軒並み弱い結果となり、労働市場の緩みが確認され、今後はインフレの低下に繋がるのではないかと期待されています。
そんな中でもISMが強い結果となれば企業の景況感は強いままということで、インフレ低下と底堅い景気から米国経済のソフトランディングの可能性が高くなるのではないかと注目しています。
米失業保険申請件数
先週の雇用指標は軒並み市場予想を下回り、米国労働市場の緩みが確認できる結果となっています。
労働市場の緩みは人件費の低下に繋がり、賃金インフレの低下から米国のインフレ低下に繋がるのではないかと注目されています。
労働市場の確認のため、毎週発表される失業保険申請件数は速報性の高い指標として注目されています。
カナダ雇用統計
カナダ中銀の金融政策発表後ではあるものの、次回会合のためにカナダ雇用市場の状況に注目が集まっています。
米国では雇用市場の緩みが確認できる結果が出てきており、今後のインフレ低下に繋がるのではないかと思われています。
カナダでは7月CPI(消費者物価指数)が市場予想に反して伸びが加速するなど、インフレの長期化が懸念される展開となっています。
雇用市場が逼迫している状況が続くようであれば、カナダのインフレ長期化懸念に繋がり、追加利上げの可能性を残したままになるのではないかと注目しています。
3)要人発言
今週は要人発言が多数予定されており、金融政策のヒントを探す展開となるのではないかと思います。
特に、米国と欧州は金融政策発表を控えてブラックアウト期間に突入する前なので、FOMC・ECB理事会のヒント探しになるのではないかと思います。
FRB
9月FOMCは据え置きが予想されています。
先週の雇用指標などから11月FOMCの追加利上げの可能性も後退しています。
そんな中で9月FOMCではドットチャートに注目が集まっています。
年内の追加利上げに加えて、来年の利下げの可能性にも注目が集まっています。
9月FOMCに向けて、金利見通しなどに繋がる発言が出てこないか注目です。
ECB
ECB理事会を来週に控えて、追加利上げの可能性と年内の利上げ回数に注目が集まっています。
9月ECB理事会では追加利上げが予想されていますが、ECBの利上げは9月で終了になるのではないかとの予想も出てきています。
要人発言からターミナルレート(利上げの最終水準)について、どのような発言があるのか注目です。
BOE
英国は主要国の中で最も高いインフレで、追加利上げの回数もあと2~3回あるのではないかと予想されています。
追加利上げ、景気見通し、インフレ見通しについて、どのような発言があるのか注目です。
また、景気を優先させるのか、インフレを優先させるのかにも注目しておきたいと思います。
日銀
原油高などを受けて輸入物価の上昇から貿易収支の悪化が懸念され、その結果円安圧力が強くなるのではないかと予想されています。
このまま円安が継続すると、円買い警戒水準に突入することになります。
すぐに介入になるかはわかりませんが、実弾介入の前に口先介入があると思うので、発言内容の介入警戒レベルには注意しておきたいと思います。
以下、去年の口先介入時のものです。
◎今週のイベントスケジュール
9月4日(月曜日)
米国市場・カナダ市場休場(レイバーデー)
16:00 CHF スイス4~6月期GDP
16:00 TRY トルコCPI(消費者物価指数)
20:30 EUR エルダーソンECB専務理事発言
22:00 EUR ナーゲル・ドイツ連銀総裁発言
22:30 EUR ラガルドECB総裁発言
23:00 EUR レーンECB専務理事兼主席エコノミスト、パネッタECB専務理事発言
9月5日(火曜日)
10:45 CNY 財新サービス業PMI
13:30 AUD RBA理事会・政策金利・声明文発表
16:00 EUR ラガルドECB総裁発言
16:50 EUR フランス総合・サービス業PMI(改定値)
16:55 EUR ドイツ総合・サービス業PMI(改定値)
17:00 EUR ユーロ圏総合・サービス業PMI(改定値)
17:30 GBP 英総合・サービス業PMI(改定値)
21:30 EUR シュナーベルECB専務理事発言
23:30 EUR デギントスECB副総裁発言
9月6日(水曜日)
10:30 JPY 高田日銀審議員発言
10:30 AUD 豪四半期GDP
17:30 GBP 英建設業PMI
21:30 USD コリンズ・ボストン連銀総裁発言
21:30 USD 米貿易収支
21:30 CAD カナダ貿易収支
22:45 USD 米総合・サービス業PMI(改定値)
23:00 USD ISM非製造業景況指数
23:00 CAD カナダ中銀政策金利・声明文発表
9月7日(木曜日)
00:10 AUD ロウRBA総裁発言
03:00 USD ベージュブック(米地区連銀経済報告)
04:00 USD ローガン・ダラス連銀総裁発言
10:30 JPY 中川日銀審議員発言
10:30 AUD 豪建築許可件数、貿易収支
12:10 AUD ロウRBA総裁発言
16:00 EUR ウンシュ・ベルギー中銀総裁発言
16:30 EUR ビルロワ・フランス中銀総裁、クノット・オランダ中銀総裁発言
17:30 EUR エルダーソンECB専務理事発言
18:00 EUR ユーロ圏GDP(改定値)
18:30 EUR ホルツマン・オーストリア中銀総裁発言
21:00 MXN メキシコCPI(消費者物価指数)
21:30 USD 米失業保険申請件数
21:30 CAD カナダ建築許可件数
23:00 USD ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁発言
23:00 CAD カナダIveyPMI
9月8日(金曜日)
00:00 USD 原油在庫量
02:55 CAD マックレムBOC総裁発言
04:30 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
04:45 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁発言
05:55 USD ボウマンFRB理事発言
08:05 USD ローガン・ダラス連銀総裁発言
08:50 JPY 日4~6月期GDP(改定値)
15:00 EUR ドイツHICP(消費者物価指数)(改定値)
21:30 CAD カナダ雇用統計・失業率
22:00 USD バーFRB副議長発言
9月9日(土曜日)
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント
04:00 USD 米消費者信用残高