2022年8月28日
FRBとECBの利上げ幅に関する発言に注目! 「8月29日週の注目点とイベントスケジュール」
記事を書いた人:岡ちゃんマン
先週は注目のジャクソンホール・シンポジウムでのパウエルFRB議長の講演があり、市場予想通りタカ派な内容となりました。
市場予想通りだったことで一時はSell The Factとなりドル売りが進みましたが、その後はタカ派な内容からドル買いが再開し往って来いとなりました。
ただ、米株はFRBのタカ派姿勢に大きく影響しダウ平均は1000ドル超の下落となり、リスクオフからオセアニア通貨は下落しました。
また、米国の物価指標であるPCEデフレーターは予想を下回りました。
CPI(消費者物価指数)に続き、PCEデフレーターも予想を下回ったことでインフレピークアウトの期待は高まりましたが、FRB要人のタカ派発言が続いたことで9月FOMCの利上げ確率は0.75%が優勢となっています。
今週は雇用統計はじめ、欧州の物価指標とFRBやECBの金融政策に影響しそうな経済指標が予定されています。
ジャクソンホール・シンポジウムも通過したことで、欧米の参加者も夏休みを終えて戻ってくると思われます。
ボラティリティも戻ってくるのではないかと期待しています。
目次
◎今週の注目点
1)経済指標
欧州HICP(消費者物価指数)
先週、ECB理事会メンバーから次回利上げ幅0.75%を検討と伝わりユーロ買いが進みました。
大幅な利上げは物価高を抑制するもので、今週発表される物価指標に注目が集まっています。
欧州はロシアへの制裁(ロシアからの報復)でガス価格が急騰して物価が上昇しています。
今週発表のHICP(消費者物価指数)が予想以上の結果が出てきた場合は、0.75%利上げだけでなくさらなる追加利上げやQT(資産縮小)に繋がるのではないかと注目です。
ADP雇用統計
週末のNFP雇用統計と結果に乖離が出やすいADP雇用統計、最近の注目度は下がっていました。
ただ、今回のADP雇用統計からスタンフォード大と提携し、AIを駆使した新たなデータ分析を使用した雇用統計となっています。
どのような結果となるのか、どのくらいマーケットが注目しているのか、結果と値動きに注目です。
NFP雇用統計
先週のジャクソンホール・シンポジウムでパウエルFRB議長は「
9月のFOMCまで重要指標として雇用統計とCPI(消費者物価指数)の発表があります。
ただ、9月10日からFOMC前のブラックアウト期間に突入、CPI(消費者物価指数)の発表はブラックアウト期間中なので結果を受けての要人発言は確認できません。
なので、FOMC前で重要指標の結果を受けて要人発言を確認できるのは今週の雇用統計になります。
それだけ注目度が高くなっているだけに、大きなな値動きに繋がるのではないかと注目しています。
ISM製造業景況指数
先週発表されたマークイット社が発表する製造業PMI速報値は好不況の分岐点「50」は割り込まなかったものの、予想を下回る弱さとなりました。
今週発表されるISM製造業景況指数の予想は「52.0」です。
予想を下回るのか、好不況の分岐点「50」を割り込むのか、それとも予想以上の結果が出てきて米国経済の底堅さが確認できるのか、結果に注目です。
2)要人発言
FRB要人発言
先月のCPI(消費者物価指数)の結果が予想を下回ったことで、一時は9月のFOMC利上げ幅予想が0.5%に傾いていましたが、その後のFRB要人のタカ派発言や先週のジャクソンホール・シンポジウムでのパウエルFRB議長の発言などから、週末時点で0.75%利上げが61%の確立で優勢(CME FedWatch参照)となっています。
今週は雇用統計やISM製造業景況指数、その他米指標の結果などを受けて要人からどのような発言が出てくるのか注目です。
FRBはサプライズを嫌うのでFOMCを前に織り込みを進ませると思います。
9月10日からブラックアウト期間に突入するので、それまでに0.5%利上げなのか、それとも0.75%利上げなのか、どちらかの予想が9割を超えるように発言が進んでいくのではないかと思っています。
0.75%利上げを織り込ませるようであればドル買いが進み、米株は下落するのではないかと注目しています。
ECB要人発言
欧州ではエネルギー価格の上昇などから物価高が注目されており利上げを進めるのではないかと注目されていました。
そんな中、先週金曜日に次回ECB理事会で0.75%利上げを発表するのではないかとの観測が高まりユーロ買いが進みました。
今週は欧州の物価指標であるHICP(消費者物価指数)の速報値が各国で発表されます。
その他指標なども含めて、結果を受けて欧州の要人発言がどのような内容になるのか注目です。
特に政策判断の重要人物であるレーンECB専務理事兼チーフエコノミストの発言には注目しておきたいと思います。
3)リスク要因
月末リスク
今週は月末が近いので、リバランスなど実需フローなどで大きな動きが出てくる可能性があるので要注意です。
また、夏休みをとっていた欧米の参加者が戻ってくるので、トレンドが変わる可能性も高いので注意しておきたいと思います。
英保守党党首選
英国はジョンソン首相が辞任を表明し、次期党首(首相)を決める党員投票を行っています。
現在優勢とされているトラス前外務相は英中銀の責務の見直しなどを呼び掛けています。
英中銀の責務の見直しとなればポンドが大きく下落するとの予想が出ており、トラス前外務相の当選が確実になってくるようであればポンドが下落する可能性があるので注意しておきたいと思います。
保守党党首選は9月5日が開票日となっています。
中露リスク
中国とロシアにハ多数のリスクがあります。
中国は台湾を巡り、欧米と対立しており報復行動がリスクになっています。
カナダ議会は台湾訪問を計画するなど、中国の新たな報復行動が出てくる可能性があるので注意しておきたいと思います。
また、中国はコロナ感染拡大、電力不足などから景気後退が懸念されています。
中国景気の後退はオセアニアはじめ世界的に影響が出る可能性があるので要注意です。
ロシアに関しては、欧州に対するガス供給、ウクライナに対する侵攻、ウクライナのザポリージャ原発を巡る砲撃などのリスクがあります。
欧州に対するガス供給はユーロへ大きく影響するので注意しておきたいと思います。
◎今週のイベントスケジュール
8月29日(月曜日)
英国休場(サマーバンクホリデー)
10:30 AUD 豪小売売上高
22:00 EUR レーンECB専務理事兼チーフエコノミスト発言
8月30日(火曜日)
10:30 AUD 豪建築許可件数
16:00 EUR スペインHICP(消費者物価指数)(速報値)
21:00 EUR ドイツHICP(消費者物価指数)(速報値)
21:00 USD バーキン・リッチモンド連銀総裁発言
23:00 USD 米消費者信頼感指数
8月31日(水曜日)
00:00 USD ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁発言
01:00 EUR ホルツマン・オーストリア中銀総裁、ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、ウンシュ・ベルギー中銀総裁、ミュラー・エストニア中銀総裁発言
10:30 CNY 中国製造業・非製造業PMI
15:45 EUR フランスHICP(消費者物価指数)(速報値)
16:55 EUR ドイツ雇用統計・失業率
18:00 EUR ユーロ圏HICP(消費者物価指数)(速報値)
21:00 USD メスター・クリーブランド連銀総裁発言
21:15 USD ADP雇用統計
21:30 CAD カナダGDP
23:30 USD 原油在庫量
9月1日(木曜日)
07:30 USD ボスティック・アトランタ連銀総裁発言
10:45 CNY 財新製造業PMI
16:50 EUR フランス製造業PMI(改定値)
16:55 EUR ドイツ製造業PMI(改定値)
17:00 EUR ユーロ圏製造業PMI(改定値)
17:30 GBP 英製造業PMI(改定値)
18:00 EUR ユーロ圏失業率
19:30 EUR センテノ・ポルトガル中銀総裁発言
21:30 USD 米失業保険申請件数
22:45 USD 米製造業PMI(改定値)
23:00 USD ISM製造業景況指数
9月2日(金曜日)
21:30 USD NFP雇用統計・失業率・平均時給
9月3日(土曜日)
02:00 USD ベイカーヒューズ社リグカウント